避妊用器具「ミレーナ」の他の作用とは

女性の生理痛や過多月経などの生理トラブルの治療として、避妊薬である低用量ピルが使われることがあります。そして最近では、「ミレーナ」と呼ばれる避妊用器具も、新しい治療の選択肢として注目されています。

ミレーナとはどんなもので、どのように生理トラブルを緩和してくれるのでしょうか。

子宮内黄体ホルモン放出システム「ミレーナ」

ミレーナとは、「子宮内黄体ホルモン放出システム」という、T字型をした小さな避妊用器具のこと。器具には女性ホルモンの一つである黄体ホルモン(プロゲステロン)が付加されていて、子宮内に入れると、黄体ホルモンを少量ずつ放出する仕組みになっています。この黄体ホルモンには、子宮内膜の増殖を抑える作用があるため、ミレーナを使っていると、受精卵が着床するのを防いで妊娠を防ぐことができるのです。また、子宮内膜が薄くなることで、経血の量が減少するという効果もあります。

ミレーナの避妊率は高く、正しく使用すれば、避妊率90%以上のピルと同じくらいの避妊効果を発揮します。子宮内で避妊効果が持続する期間は、3年から5年程度。使いたい場合は、婦人科や産婦人科で診察を受け、ミレーナが適しているか判断した上で、医師に挿入してもらう必要があります。

2014年から過多月経の治療法として保険適用に

2007年に避妊器具として日本国内で承認されて以来、ミレーナは主に、長期間の避妊をしたい女性の間で避妊法の一つとして使われてきました。2014年には、過多月経や月経困難症の治療法として保険診療が適用となり、生理トラブルに悩む女性にとって新たな選択肢としても注目されています。

先述の通り、ミレーナには子宮内膜を薄くする作用があるため、過多月経や生理痛を緩和する効果が期待できます。以前は装着にかかる費用が高価だったことから、あまり普及していなかったミレーナですが、保険適用になったことで費用が大幅に下がり、一般の女性にとって現実的に選択できる治療法となりました。医療機関や診察内容にもよりますが、保険診療の場合、挿入するときの保険負担費用は1万5,000円前後で済むことが多いでしょう。