ここ数年で利用者が急増しているデビットカードだが、まだまだ機能や使い方がわからないという声も多く聞かれるので、基本的な知識を紹介したいと思う。

J-Debitとブランドデビット

デビットカードは買物の支払いに利用でき、紐付いた銀行(金融機関)の口座から代金が即時に引き落とされる決済サービスで、多くはキャッシュカードとの一体型となっている。 大きく分けてJ-Debitとブランドデビットの2種類があり、いま利用者が急増しているのは後者。券面にVisaなど国際ブランドのロゴが入ったカードのことである。Visaデビットであれば、クレジットカード払いができるVisa加盟店のほとんどで利用でき、JCBデビットも同様。MasterCardブランドのデビットカードは、日本では発行されていない。

一方のJ-Debitも、J-Debit加盟店で利用できるが、ブランドデビットとの最大の違いは、利用できる加盟店の数。J-Debit加盟店は国内にしかなく、VisaやJCBに比べて使える店の数も少ない。また、ポイント付与や補償の有無も異なる。はっきり言ってしまえば、既にJ-Debitはブランドデビットに取って代わられつつあり、いまさら利用するメリットはほとんどない。ただし、一部家電量販店でクレジットやブランドデビット払いよりもポイント還元率が高く設定されていたり、時期によってキャンペーンが行なわれていたりする場合はある。

なお、一部の銀行を除くキャッシュカードは、基本的にJ-Debitが利用できるようになっており、1枚でJ-Debitとブランドデビットの両方が使えるカードも少なくない。この場合、店頭での支払い時に「デビット払いで」と言うと、J-Debitと受け取られる場合があるため、ブランドデビットで支払う際は「クレジット払いで」や「Visa払いで」と伝えたほうが確実だ。

ブランドデビットのつくり方

ブランドデビットを作るには、まず発行金融機関で預金口座の開設が必要となる。口座さえ開ければ、あとは原則審査不要で、所定の年齢条件(15~18歳以上が一般的)を満たしていれば発行できる。利用できる金額は預金残高の範囲内。金融機関によっては、1日の利用額に上限が設定されていたり、自分で上限額を設定して使いすぎを防止したりできる場合もある。なお、クレジットカードのように分割払いやリボ払いはできず、1回払いのみとなる。

利用できる店は前述した通り、Visaデビットならネットショップを含む世界中のVisa加盟店、JCBデビットなら同じくJCB加盟店となるが、例外もある。即時払いという特性上、月々の支払い、ガソリンスタンド、高速道路など、残高不足になる可能性がある支払いや、即時に残高確認ができない場所では利用できない場合があるのだ。このほかにも加盟店の業種や利用形態によっては利用できない場合があるので、クレジットカードと"ほぼ"同様に使うことはできるが、まったく同じとは思わないほうがいいだろう。

また、海外の対応ATMでは、現地通貨を引き出すことも可能。所定の為替手数料やATM利用手数料が必要となるが、地域によっては両替所を利用するより得する場合も珍しくない。キャッシング機能がついたクレジットカードで現地通貨を引き出した場合は、返済日までの利息が発生するが、デビットカードでは為替手数料は異なるものの利息が発生しないメリットもある。

クレジットカードとの比較では、このほかにもポイントの付与率をはじめ、数多くの違いがある。次回はデビットカード、クレジットカード、プリペイドカード、それぞれのメリット/デメリットについて紹介する。

<著者プロフィール>

タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月7日発売の『最強クレジットカードガイド2016 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川マガジンズ)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。

※画像と本文は関係ありません