挑戦を続ける「松屋」の定食。それを成し遂げられる理由とは?

――「プレミアム牛めし」が形になるまでにはいろいろな苦労があったんですね。ところで、牛丼チェーンの中では松屋はいろんな種類の定食を展開しているように感じます。やはり1番メニュー開発をすることが多いのは定食なのでしょうか。

「ケイジャンチキン定食」

そうですね。というのも、「牛めし」というのはすでに完成されていて、上にトッピングしたり、タレの味を変えたりすることでバリエーションに幅を持たせるのですが、それだけではメニュー展開に限界を感じてしまいます。新メニューは月に2回導入しており、そのときに出るバリエーション豊かな定食メニューが、松屋らしさを生み出していると思っています。

――3月には「担々エッグプレート」、5月には「ケイジャンチキン定食」など、ここ最近かなり珍しいメニューが登場しているなという印象ですが、なにか理由があるのですか。

定食は結構チャレンジメニューが多いですね(笑)。以前から、チャレンジメニューを出すことはありましたが、ここ2~3年でそのチャレンジメニューを販売する機会が増えたのかもしれません。

――増えたきっかけはなんだったでしょう。

……やはり「プレミアム牛めし」の誕生ですね。もちろんそれより前から、挑戦することはありましたが、「プレミアム牛めし」が登場してからは、"よりいっそう"挑戦するようになったという実感はあります。

――「プレミアム牛めし」は、松屋にとって1つの大転機だったのですね……。

正直「プレミアム牛めし」はまだ完成したとは言えません。さらに「プレミアム牛めし」を磨きこんでいきたいと思っています。それでも、ある程度のお客さまには認めていただけたかなと思っていまして、さらにお客さまに満足していただくには、バリエーション豊かな定食が必要かと考えてます。

――なるほど、その定食メニューの挑戦ですが、開発の際に意識していることはありますか。

なるべくメニューを見て、牛肉・豚肉・鶏肉の全ての商品がそろっている状態が理想だと思っていまして、そこは意識しています。実際にはオペレーションを考えて、実現できるとは限りませんが。また、商品の無添加や生野菜の国産化まで、安全・安心をお客さまにも感じていただきたいと思っています。実際、定食メニューの幅は「プレミアム牛めし」開発以前より広がりました。

――その広がりの中で、新しくて冒険をするようなメニューが多く生まれたってことですね。

時には安心感を与えたいので、たまには松屋らしいメニューは出したいですよね(笑)。チャレンジメニューもいいですけど、こてこての松屋らしいメニューも出していけたらいいなと思います。

――この1年でこの商品は自信があるぞというものはどの商品でしょうか。

「ブラウンソースハンバーグ定食」です。自信を持って売り出し、期間限定メニューから定番メニューになる人気商品となりました。この洋風の味わいは、今までの松屋商品にはなかった商品で、ちょっと品格が上がった味だなと思っています。

「ブラウンソースハンバーグ定食」

――逆にボツになった商品というのはどういった商品が多いのでしょう?

ハンバーグ系は多いですね。松屋のハンバーグ系の商品は、基本的に「ハンバーグ」と「ソース」の組み合わせなのですが、そこから品質を上げようとすると、やはり「付け合わせ」が必要になります。それがオペレーションを複雑にしてしまいますからね。

実は、ハンバーグ商品に乗せる目玉焼きも、店舗の負担が増えてしまうのではないかと思って1年くらい封印していたんですよ。それで、店舗の声をヒアリングして、「いけますよ」という話がでるまでに時間がかかりました。

今後の定食は、新たな方向性で打ち出すかもと話してくれた

――1つの工程を加えるのでも大変なんですね。新メニュー開発の苦労がほんの少しですが、分かった気がします。

開発に時間はかかりますが、お客さまの中には「月に2回くらいのペースで、松屋が何か新商品を出してくるぞ」と分かっていらっしゃると思うので、わくわくして待っていてほしいですね。

――最後に、今後の松屋の新商品を待っているファンに一言お願いいたします。

今後、「プレミアム牛めし」はさらにレベルアップしていきます。また定食は、牛・豚・鶏だけでいいのかとも思っています。いずれにせよ、「みんなの食卓でありたい」と思ってますので、メニューのバリエーションであらゆる層に受け入れられればいいなと思っています。