賃貸住宅の「現況確認書」って何を書けばいいの?プロが教える書き方

賃貸住宅に入居したタイミングで不動産会社や大家さんから「現況確認書」というものを渡されることがあります。退出時の原状回復チェックのために入居時の状態を記録しておくものですが、どう書いたらいいのでしょうか。


Q 引っ越ししたら「現況確認書」というのを渡された。これって何?

A 入居した時点の室内のキズや汚れなどの状態を記入するものです。退去時の原状回復にまつわるトラブルをなくすために、最近、渡されることが増えてきました。室内の現況を記入して1枚を不動産会社や大家さんに渡し、もう1枚を手元で保管しておきます。複写式でなければコピーを取って手元に残しましょう。記入する時期は、できれば室内の様子がすみずみまでよくわかる引っ越し前、つまり家具を配置する前に行いたいものです。

チェックしたいのは以下のような箇所です。

設備の状態

 室内壁やフローリングなど、目につく箇所のキズや汚れがあれば記入しておくのはもちろんですが、蛇口が閉めづらい、お湯の出が悪い、サビ色の水が出るなど、設備で気づいた点を記入しておきます。春に入居すると、エアコンのスイッチを入れるまで数カ月を要することもありますから、エアコンの状態も、スイッチを入れてみて点検しておきましょう。ここで生活上、心配な点はガマンせずにすぐに連絡しましょう。必要であれば修理してもらうことです。

隠れた場所にも目を向ける

 チェックを忘れがちなのが、キッチンの収納棚やクローゼットの内部、トイレの奥、洗濯機置き場のスペースなど。つまり、普段あまり意識して目を配ることがない箇所です。扉を開け閉めして隠れたキズや汚れがないか、閉まり具合はどうかを確認しておきましょう。

どこまで記入する?

 「どこまで記入すればよいのかわからない」という声があります。あまり細かいことにとらわれず、大きな汚れやキズは、その場所と「玄関の壁紙に目立つキズ」などとざっくりと書きます。フローリングについた冷蔵庫跡なども「キッチン脇にフローリングのへこみ多数」などということでよいのではないでしょうか。提出後に指摘があったら、あらためて書きなおすという方法ではいかがでしょう。念のため、室内の日付入りの写真を撮影しておき、プリントして現況確認書とともに不動産会社や大家さんに送付しておくと、退去時のトラブルを防げそうです。

提出期限を守って

 なお、書類には、提出期限があります。期限を過ぎても提出しなければ、室内に不具合がなかったものとみなされ、もともとあったキズなどがあなたの不注意として修理費用を請求されてしまうことがあります。期限を確認して早々に提出しましょう。もし、今、期限が過ぎているなら早めに不動産会社や大家さんに「今から提出したいのですがいかがでしょうか」と問い合わせましょう。

高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『最高のマンションを手に入れる方法』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。『夕刊フジ』にて「住まいの処方銭」連載中。

 

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