鼻水が止まらない! と悩んでいる人はいませんか
全国各地で桜の開花を迎え春の訪れを感じる一方で、時折肌寒い日もあるのが今の時期。季節の変わり目に風邪をひいてしまった人や、花粉症に悩まされている人も多いことだろう。それらに共通する症状として「鼻水」がある。
今回は、「鼻水が止まらない! 」という症状が気になる人のために、原因となりうる鼻の病気について、日本医科大学 耳鼻咽喉科 教授(武蔵小杉病院 耳鼻咽喉科 部長)の松根彰志医師にお聞きした。
その鼻水、「副鼻腔炎」では?
鼻水が止まらない原因の1つとして、幼児から高齢者まで世代を超えてかかる「副鼻腔(びくう)炎」という病気があります。一般的には、昔から「蓄膿症」とも呼ばれています。
副鼻腔とは、鼻の周囲にある左右4つずつの空洞のこと。通常は、粘液がたまらないように換気・排せつがよくできているのですが、ウイルス・細菌感染やアレルギー反応などによって鼻の粘膜がはれると、細菌が繁殖しやすくなって鼻と副鼻腔の間のルートがふさがってしまいます。すると、大量の鼻水をはじめ、さまざまな鼻の症状に悩まされることになります。
主な症状としては次のようなものがあります。
副鼻腔炎チェックリスト
■鼻水が止まらず、頻回にのどにも流れ落ちる(後鼻漏)
■特に夜になると咳き込んで眠れず、朝になるとのどに痰がたまっている
■鼻がつまっていて息苦しい
■黄色で粘性のある鼻水が出る
■鼻水の症状に頭痛が伴う
■いびきがひどい
■嗅覚が低下している
■頭痛や頭重感が続いている
花粉症は「増悪因子」に
副鼻腔炎には、風邪をこじらせたときなどに起こりやすい「急性副鼻腔炎」と、もともと長期に鼻の悪い人に多く見られる「慢性副鼻腔炎」があります。ただし、急性副鼻腔炎をきちんと治療しないと、症状がぶり返したり(反復化)、長引いたり(遷延化)し、慢性副鼻腔炎に進行する場合があります。
急性副鼻腔炎の原因はウイルスや細菌の感染ですので、風邪やインフルエンザが悪化して起こることがあります。また、花粉は直接的な原因にはならないものの、「増悪因子」にはなりえます。つまり、副鼻腔炎の人が花粉症になると、症状がさらに悪化してつらい思いをする可能性があるということです。
病院では、まず原因を究明し、抗生物質による薬物治療、鼻洗浄・鼻吸引、内視鏡手術(外来手術、入院手術)などを行います。外来手術ではレーザーを使うこともあります。鼻の病気は、患っている期間が長ければ長いほど治療にも時間がかかるので、早めの治療が肝心です。そして、きちんと治さないと慢性化する可能性があるので、根気強く治療を続けるようにしましょう。