日本三大稲荷の「笠間稲荷神社」や陶器の「笠間焼」で知られる茨城県笠間市は、2014年の観光入込客数は352万人と県内第2位の街。"陶芸の里"として知られているため、やや年配の人向けと思う人もいるかもしれないが、実は笠間は知る人ぞ知るアートな街歩きスポットとなっている。今回はそんな笠間の魅力・楽しみ方を紹介しよう。

毎年、笠間の芸術の森公園で行われる「笠間の陶炎祭」は200以上の陶芸家や窯元、地元販売店などが集う陶芸の祭典。2015年は51.6万人を集めた。画像提供: 茨城県観光物産協会

GWはつつじに陶芸に藤の花

笠間では毎年ゴールデンウィーク前後、約8,500株のつつじが見られる「笠間つつじまつり」(2016年は4月16日~5月8日)や200以上の陶芸家や窯元、地元販売店などが集う陶芸の祭典「笠間の陶炎祭(ひまつり)」(2016年は4月29日~5月5日)などで多くの人を集める。

日本三大稲荷のひとつ「笠間稲荷神社」。本殿は国登録重要文化財の総欅の権現造。江戸時代の名工により、柱・天井などに美麗な飾り彫りがなされている。ぜひ本殿後部に回り、7枚の「蘭亭曲水の図」の浮き彫りを拝みたいところ

パワースポットして名高い「笠間稲荷神社」は秋の菊祭りが有名だが、5月には樹齢400年を超える藤が花を咲かせ、境内は美しい紫のカーテンに彩られる。県指定の天然記念物の藤のひとつは八重藤で、花がブドウの実のように集合して咲く珍しい種類。境内の君が代に歌われた「さざれ石」、国の重要文化財に登録された権現造の本殿は必見だ。本殿には江戸時代の名工により柱・天井などに見事な飾り彫りがなされている。ぜひ、本殿後部に回り美麗な「蘭亭曲水の図」を拝見してもらいたい。

5月「笠間稲荷神社」では樹齢400年超の藤が花が咲き、美しい紫のカーテンが見られる。画像提供: 茨城県観光物産協会

入母屋造り。左右に奉納の毛綱がある東門の前には、君が代にも歌われた「さざれ石」が待ち構えている

笠間つつじ公園で開催される「笠間つつじまつり」では、約7haの敷地に約8,500株のつつじで真っ赤に染まる。画像提供: 茨城県観光物産協会

しかし、これだけで帰ってはもったいない。笠間は今、アートな街歩きが楽しめる場所になっており、一日様々な学びや遊び、体験ができる穴場スポットなのだ。「笠間芸術の森公園」には陶芸に関する施設が集積しており、一日いても飽きない。

4月からは地方創生の目玉となる「茨城県立笠間陶芸大学校」が開校、体系的に笠間焼を学べる場、人材育成の場となっている。今後、笠間焼はタイやベトナムなどへ輸出、海外の販路拡大にも力を入れていくとしている。

森公園を囲むように広がる窯元やギャラリーたち

笠間市中心部の自然豊かな丘陵に広がる「笠間芸術の森公園」は総面積54.6ha。敷地内には陶芸家を養成する大学、美術館、体験工房、200人を超えるアーティストの作品が一堂にそろうギャラリーショップ、カフェなどが集積している。ヒノキの森には29人の陶芸作家の作品が展示されたアートな散策路「陶の森」や、自然の中で子どもが遊べる遊具が充実した「あそびの杜」などもある。

小高い丘の上に広がる「笠間芸術の森公園」は総面積54.6ha。敷地内には「笠間工芸の丘」や大学、茨城県陶芸美術館、ヒノキの森に陶器のモニュメントが置かれた散策路「陶の森」などが広がっている

さらに周辺には代々続く笠間焼の窯元が並び、本格的な陶芸教室もある「やきもの通り」、工房直結のオリジナルショップが集まる散歩道「陶の小径」、全長2kmに渡りアートギャラリーやレストランやショップ、ホテルなどが点在する「ギャラリーロード」などが連なる「笠間やきもの散歩道」がある。陶芸の里らしく、自然豊かでのどかな田園風景の中、窯元やギャラリーを巡って個性的な数百人の作家の作品を見て歩けば、自分好みの作家や器に出会える。

公園内のセンタープラザにある「ふれあい工房」では、シルバークレイアートや陶芸体験などができる。登り窯は年に一度、薪をくべ焼き上げられる。

公園を見渡せるカフェや約250人の作家の作品を一堂に集めたギャラリーショップなども

続いては、ギャラリーロードのオススメのショップを紹介しよう。通りにはおいしい立ち寄りができるカフェやレストランもあるので、ギャラリー巡りの休憩スポットにしてみてもいいだろう。