避妊効果はコンドームより低用量ピルが上
ここで、主な避妊法の種類をおさらいしておきましょう。
・低用量ピル
卵胞ホルモンと黄体ホルモンを成分に含む経口避妊薬。規則正しく服用すれば約99.9%もの避妊効果がある、もっとも安全で確実な避妊法です。ただ残念ながら、日本ではそれほど普及しておらず、使用率はわずか3%程度。使いたい場合は、医師による処方が必要で、体の状態や既往歴(これまでの病歴)によっては低用量ピルが使えない場合もあります。・IUD(子宮内避妊用具) / IUS(子宮内避妊システム)
IUDは以前より「避妊リング」と称されて使われてきたもので、何も付加されていないものや、銅が付加されて避妊効果を上げたものなどがあります。銅付加IUDは、銅イオンを放出して精子が子宮内へ入るのを阻止し、受精卵の着床を妨げます。避妊率は約92%です。IUSは「Intrauterine Contraceptive System」の略で、子宮内で黄体ホルモンを放出し、受精卵の子宮内膜への着床を妨げるシステム。月経困難症の治療効果があり、避妊のみならず治療器具として有効な新しい装置です。避妊率は約99%と非常に高い確率です。
IUD / IUSを行う場合は、婦人科で装着の処置や定期的な検診をします。出産経験のない女性の場合、装着時に痛みを感じることもありますが、痛みが持続することはほとんどありません。装着後は約5年間、効果が続きます。また、体の状態や既往歴によっては装着が向かない場合もあるので、婦人科で相談してください。
・コンドーム
男性器にかぶせて使うゴムの袋で、日本ではもっとも一般的に使われている避妊法です。入手しやすく誰でも手軽に使えるのがメリットですが、実は破れたり外れたりして失敗することも多く、避妊率は85%前後と言われています。
有効と言われている避妊法の中でも、避妊率には差があります。低用量ピルやIUSの避妊効果は高く、婦人科系疾患の治療にもなりますが、婦人科でしっかり管理してもらう必要があります。コンドームは85%前後の避妊効果ではあるものの、性感染症(STD)の予防にもなります。パートナーがいて、もし赤ちゃんができたら産んでもいいと2人が思っている場合は、コンドームだけでもいいかもしれません。
また意外と多いのが、すでに子供がいる40代の女性が思いがけず妊娠して中絶するケース。「もう若くないから」と油断せず、子供を望んでいない場合は、セックスの際には避妊を徹底してください。
皆さんには避妊法についての確実な知識をもち、自分には何が合っているかをよく考えて実践してほしいと思います。悩んでいる方は、婦人科へ相談に行きましょう。
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記事監修: 善方裕美 医師
日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医
1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。
主な著書・監修書籍
『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』
『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』
『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など