消費税10%を来年に控えた2016年は、お金に関する制度がたくさん変わる年になりそうです。そこでこのレポートでは、よく聞くけどわからない2016年スタートのマネーに関する新制度を簡単に解説していきたいと思います。まずは「金融所得課税の一本化」「マイナンバー制度」についてご紹介します。
国債などの譲渡益に20%課税される
2016年1月から上場株式・株式投資信託・公社債投信・公社債(債券)の税制が統一されました。投資運用をされていない方にはいまいちピンと来ない制度かと思いますが、これまで金融商品ごとに税制が定められていて、複雑だったものが一本化されたことでシンプルな税制になりました。
大きな改正点としては、公社債投信と公社債(債券)の税制が、株式や投資信託と同じ扱いとなること。これまでは非課税だった公社債投信と公社債の譲渡益ですが、2016年からは「譲渡益の20.315%(復興特別所得税含む)」を税金として支払わなくてはなりません。
一方、一本化によるメリットは、これまではできなかった「損益通算」ができるようになったという点です。「損益通算」とは、一方は利益が出たが、もう一方はマイナスになってしまっている場合、利益からマイナス分を引いたものを所得として確定申告をすることができるというものです。公社債投信や公社債(債券)投資で出た利益や損失を、上場株式や株式投資信託などで出た利益や損益と合わせ、プラスになった分を申請できます。
この制度により、証券口座の「特定口座」において「公社債等」も扱えることになり、より申告が簡単になります。「特定口座」とは、証券会社が株式など売買取引の年間取引報告書を作成してくれる口座のことです。また、「源泉なし」と「源泉あり」が選択でき、「源泉あり」を選ぶと、その口座で行った売買取引での確定申告が不要となります。
マイナンバー制度で行政手続きが簡単になる?
マイナンバーとは国民一人ひとりが持つ12桁の番号のことで、みなさんのお手元にも届いているのではないのでしょうか。
2016年1月から運用が開始され、社会保障、税、災害対策の行政手続きの3つでマイナンバーが必要となります(別途法律や条例で定めがある場合を除きます)。例えば、企業が社員に代わって保険の手続きや支払い調書といった書類を提出する際や、生命保険会社や証券会社で税金の処理をする時にマイナンバーが必要となります。
そして、マイナンバーを導入することで、医療保険や年金などの手続きをする際の添付書類が不要になるなど行政手続きが簡単になるといったメリットがあります。また、2017年1月からは、「マイナポータル」というインターネットサイトから個人情報のやりとりの記録の確認や、個人情報をいつ誰がなぜ提供したのかなどを閲覧することができる予定となっています。
後編では、「電力自由化」「106万円の壁」といったワードを解説したいと思います。
執筆者プロフィール : 丸山晴美(まるやま はるみ)
外国語の専門学校を卒業後、旅行会社、フリーター、会社員、コンビニ店長へと転職。22歳で節約に目覚め、年収が350万円に満たないころ、1年で200万円を貯める。26歳でマンションを購入。2001年に節約アドバイザ―として独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーの資格を取得し、お金の管理、運用のアドバイスなどを手掛け、TV、雑誌などで幅広く活躍している。