のべ一万人以上の女性の生き方相談に乗ってきた、女社長の川崎貴子さん。「女のプロ」との異名をとり、著書『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる』(ベストセラーズ)などで説く恋愛・結婚の心得も話題を呼んでいます。「男たちにも言いたいことは山ほどある」と言う川崎さんが、恋愛や結婚で路頭に迷うアラサー男性の相談に愛を込めて答えていきます。

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Q: 彼女がときどき原因不明の不機嫌になるんですがどうすれば先回りして気付けるのでしょうか?

彼女はいわゆる「察してほしい」というタイプです。何か少しでも気に入らないことがあると、急に黙りこくったり、LINEの返信が途絶えたり。どうしたのかと聞いても、「なんでもない」と言うのでモヤモヤしたままです。もっとしつこく理由を聞いたほうが良いのでしょうか? また、そもそも不機嫌にならないようにするにはどういう点に気を付ければ良いのでしょうか?(25歳・フリーター)

男性は基本的に察する機能がついていない生き物です

私は19年間社員教育(男女ともに)をしたり、既婚者の離婚相談に乗ったりしてきて、その結果分かったことなのですが、男の人は「察する」ということができないんですよ。きっと脳の構造がそういう風にできているんですね。持って生まれた機能の問題だから、仕方ないんです。だから、一にも二にも、プレゼンをすること。「キミに太い上腕二頭筋がないように、僕には察する機能がついていないんだ!」と、彼女に"僕はそういう生き物なんだ"と理解してもらうところから始めましょう。彼女のことを嫌いだから、察せられないわけじゃないんだよ、とね。

"彼女のルール"をプログラミングせよ

だから、彼女が不機嫌になるパターンを教えてもらうこと。こういうときにはこうしてほしい、などの彼女ならではのルールがあると思うから、そのデータを聞いて集めて蓄積する。彼女に、「キミの取説を教えてください。」と頼むのです。それをせっせとプログラミングしていきましょう。一説によると、西洋のレディファースト文化は、「男性は察する能力がないから、ルール化したんじゃないか」とまで言われています。アドリブで察して先回りすることはできなくても、ルールとして決められていると対応ができる事が増えるでしょう。

"彼女のルール"を聞いて実行していくことで、最初は10個のルールだったのが、20個、30個とどんどん要求が増えていってしまうかも、と思うかもしれません。それで、キャパシティを超えてしまったら、お別れするしかありませんが、こういう"女性のルール"のプログラミングをすることは、女の人の癖が分かって恋愛スキルは間違いなく上がります。別れたとしても、次の彼女に応用できるというわけです。

結婚もすり合わせとルールのプログラミングの繰り返し

恋愛だけじゃないんですよ。結婚しても、この修行は続きます。夫婦関係はこれの積み重ねなんです。

ずっと一緒に暮らしているから、「あえて言わなくても分かるでしょう?」と、なり、家の中で空気も悪くなるからけんかもしたくない。それで言うべきことを言わず、お互いに「言わなくても分かって」と相手の察し能力や理解力に甘え、不満を溜め、限界まできたらけんか勃発。特に女性の場合、けんかになると過去のことも持ち出しがちです。「あのときも、あなたこう言ってたじゃない! 本当は私それ嫌だったのよ」なんて文句の言い方、よく聞きますよね。夫婦関係も恋愛関係も、細かすぎない範囲で、けんかにまでならない段階で、その都度「これちょっと気になったんだけど、どうして?」と言い合ってすり合わせていくのが何よりも重要です。

当然ですが、この件の場合、彼女のほうにも大いに非があるんですよね。彼女のルールにそぐわない何かを相談者さんはしているのだと思いますが、そこで不機嫌になって蓋をしてしまうと、前向きな話し合いができず、先に進めません。幼稚の極みです。お互いのすり合わせのためのコミュニケーションを、どちらか片方だけでもいいからリードして進められたら、交際はとてもうまくいくのです。その第一歩として、明日からでも「残念ながら、僕は察する機能がついていません」というプレゼンを!

川崎貴子(かわさき・たかこ)
人材コンサルティング会社 ジョヤンテ代表取締役。女性誌での連載、執筆多数。主に恋愛論を書いているブログ「酒と泪と女と女」が話題となり、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる』(ベストセラーズ)として2015年3月に書籍化された。20代のときにベンチャー経営者同士で結婚するも離婚し、2008年に8歳年下のダンサーと再婚した。2人の娘がいる。自身の離婚、再婚、子育て経験を通した説得力のあるアドバイスに、ファンも多い。