多摩動物公園(東京都日野市)はこのほど、同園公式Webサイトにて、上野動物園より来園した2頭のツキノワグマの様子を紹介した。
警戒心が強かったメスの「タロコ」も徐々に慣れてきている
今年4月20日に上野動物園から同園にやってきた、ツキノワグマのオス「ソウ」とメス「タロコ」。
「ソウ」を運動場に出す際は、室内への扉を開けておき、自由に出入りできるようにしておいたが、今では扉を閉めても無事に展示できるようになった。問題はメスの「タロコ」で、6月に入っても彼女の警戒心が弱まる気配がない。そこで、まずは室内の部屋と部屋を自由に行き来させることにした。「タロコ」のいる部屋から通路に出る扉を開き、通路を介して入れる隣の部屋の扉も開放した。
日中に飼育係が見に行くと、警戒した「タロコ」は壁に向かってジャンプを始めることもあったが、夜間も部屋と部屋の移動ができるようにしておくと、室内なら落ち着いて行動できるようになってきたようだった。そこで、休園日に運動場へ出してみることにした。
運動場に出した初日、飼育係がいると外に出て来ないので、しばらくクマ舎から離れ、数時間後に戻ってみると、運動場への出入口付近に置いたえさがなくなっていた。その次の休園日も運動場に出してみると、室内からちょっと出て来てはすぐに戻るという動きを30分くらい繰り返したという。
その後、開園日も「ソウ」と交替で外に出すようにしたところ、当初は外に出すのに30分以上かかることもあったが、7月10日頃になるとスムーズに入れ替えができるように。その後は連日30度を超える暑い日が続き、「ソウ」と入れ替えで外に出た「タロコ」は一目散にプールに入るようになった。まだしばらくは、2頭を交替で運動場に出す予定となる。運動場に出ている個体については掲示を確認のこと。
ツキノワグマの運動場には穴の開いたブイが置いてあり、中にはペレットや殻つき落花生が入っている。この装置を、「ソウ」も「タロコ」も迷うことなく利用し、中味を出して食べている。ただし、ブイを持ち上げるしぐさには微妙な差があり、「ソウ」はブイを壁や組まれている木などに押さえつけて使っているが、「タロコ」は壁などにもたれながら、万歳をするようにブイを持ち上げて利用している。「ソウ」も「タロコ」も少しずつ運動場にも慣れ、個性が現れ始めている様子がうかがわれるとのこと。