スズキは30日、フォルクスワーゲンAG(以下VW)との提携・資本関係の解消を求め、国際商業会議所国際仲裁裁判所へ仲裁を申し立てた件で、仲裁判断を受領したと発表した。VWも同日、「両社間の協業は終結することになった」と発表した。

スズキ本社

スズキとVWは2009年12月、包括的な提携関係を構築することで合意。スズキによれば、世界の自動車市場において技術開発競争が激化していることから、「当社の環境技術などの開発を加速するよう技術情報の提供などの技術支援をVWから受けること」を目的に、「互いに独立したイコールパートナーとして提携するために包括契約を締結」したという。VWは「革新的かつ環境技術を駆使した小型車の開発と、新興国の自動車市場におけるシェア拡大」を目的としており、同時にスズキの発行済み株式19.9%を取得している。

2011年9月、スズキはVWとの業務提携・相互資本関係の解消を発表。「当社の目的の達成が困難な状況であること、スズキの自主的な経営判断にマイナスの影響を与えられることが懸念される」と理由を説明した。スズキは円満な協議による提携・資本関係の解消を求めたが、「VWが当社の求めに応じないため、平成23年11月18日にVWとの包括契約を解除する旨を通知し、平成23年11月24日に国際商業会議所国際仲裁裁判所に対して、契約に基づき仲裁地をロンドンとする仲裁を申し立てました」としている。

その後、仲裁廷が組織され、スズキは「包括契約が有効に解除されたことを認めること」「VWが当社株式を当社または当社の指定する第三者へ処分すること」などを求めていた。今回の発表で仲裁判断の要旨も明らかにされ、包括契約が2012年5月18日に有効に解除されたことを仲裁廷が認め、株式の処分についてもスズキの主張を認めたとのこと。

その一方で、VWが主張した契約違反(2010年末・2011年初頭に当時進行中だった協業プロジェクトをスズキが突如中止したこと、ディーゼルエンジン供給に対する「最終交渉権」の行使を認めなかったこと)も認めており、VWはスズキへ損害賠償を請求する権利を留保。損害の有無や額については引き続き審議されることになった。

スズキは今後の見通しとして、「仲裁判断の内容を精査した上で、適切に対処していく」「自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)の方式によりVWから当社株式を取得する予定」とし、株式取得の詳細は決まり次第、改めて開示すると発表。VWが株式を処分することで、筆頭株主も移動する。VWも、「現在所有するスズキ株式会社の株式19.9%を売却する」「その取引により生じた収益及び流動性の改善を期待する」と発表した。