10月6日から8日(太平洋夏時間)にかけての3日間、米カリフォルニア州ロサンゼルスにあるロサンゼルスコンベンションセンターおよびノキアシアターにおいてAdobe Systems主催のクリエイティブカンファレンス「Adobe MAX 2014」が開催された。

2日目にあたる7日の夜には、毎年恒例となっている「Sneak Peeks」と呼ばれるセッションが行われた。Sneak Peeksは、アドビが開発している新機能が少しだけ紹介される人気セッション。ここでお披露目される機能はあくまでも実験的に開発されているプロトタイプであり、必ずしも将来製品に組み込まれるというわけではなく、そのままお蔵入りされてしまうものも少なくない。一方で実際に製品化されたものもあり、最近の例ではAdobe Edge Animateなどが正式発表よりも前にSneak Peeksで紹介されていた。

ホスト役はアドビのBen Forta氏と、ハリウッド俳優のJoseph Gordon-Levitt氏が務めた。Gordon-Levitt氏は『インセプション』などの出演者として知られている一方で、hitRECordというプロダクションのファウンダーであり、若手の俳優やクリエイターに活躍の場を与えるサポートを行っている。

Ben Forta氏(左)とJoseph Gordon-Levitt氏

アイデアスケッチツール「Project LayUp」

最初に登場した「Project LayUp」は、プロジェクトを始める際にアイデアをまとめるのを手助けするiPad用ツール。フリーハンドで絵を描くと、それを自動で奇麗なワイヤーフレームに直してレイアウトしてくれる。Creative Cloudのアセットも利用することができるほか、作成したデザインをデスクトップのInDesignやPhotoshopに送ることもできる。特徴的なのはタイムライン機能で、画面上のスライドバーを前後に動かすことで、編集履歴を遡ってアイデアを見ることができるようになっている。創作活動の一番最初の段階で使われることを想定したツールである。

従来のアイデアスケッチ

LayUpを使ったアイデアスケッチ

Webブラウザ版PSDエディタ「PSD Web Editing」

「PSD Web Editing」はWebブラウザ(Chrome)上でPSDファイルの閲覧や編集を行うことができるツール。ブラウザにファイルをドラッグ&ドロップするだけで開くことができ、高速なレンダリングにより、数秒で描画が完了する。閲覧だけでなくレイアウトの変更やクリッピング、マスキングなどといった編集も可能で、編集した結果は即座にクラウドに反映され、新たなPSDファイルとしてダウンロードしてPhotoshopなどで開くことができる。

WebブラウザでPSDファイルを編集できる

音声を視覚化する「Visual Speech Editor」

「Visual Speech Editor」は音声を視覚化して目的の音声を素早く見つけることができるようにするツール。通常、長時間録音したオーディオファイルの中から特定の音声だけを抜き出すのは簡単ではない。Visual Speech Editorでは、音声の種類を色分けして表示することで、人の声や音楽、観客の声援などを視覚的に区別できるようにする。

従来は音声情報を波形で確認していた

Visual Speech Editorでは色分けして視覚的に表示する