ダイキン工業と信越化学工業、日立製作所、東京エコリサイクルの4社は4月14日、日本国内で修理やオーバーホールに伴い交換されるダイキンの業務用エアコンの圧縮機からレアアース磁石を回収し、再資源化する国内初の循環スキームの構築に向けて、業界横断の協創(を開始した。分解・脱磁(磁石や磁性部品に残っている磁力を取り除く工程)・レアアース磁石取り出しにAIの画像認識技術やロボットを活用して自動化し、効率化を図り、回収・分解・品質評価のプロセスを一貫したシステムでデータ管理することで、トレーサビリティと最適化を実現するという。
協創の背景
2001年施行の「家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)」により、家庭用機器の回収・リサイクルは制度として定着してきた一方で、業務用機器に関しては固有の法制度や回収スキームは整備されていない状況となっている。
近年、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進や資源循環型社会の実現に向けて、資源のリサイクル強化の動きが世界的に加速している。こうした中、日本国内では「資源の有効な利用の促進に関する法律」や「GX実現に向けた基本方針」にもとづき、レアアース磁石のリサイクルを拡大する動きも加速しているという。
ダイキンは、業務用エアコンの圧縮機に含まれるレアアース磁石に着目。回収・再資源化の循環スキームの構築に向けた構想を打ち出し、関連技術・ノウハウを有する信越化学、日立、東京エコリサイクルが賛同する形で、業種横断の協創を開始。
協創の概要
ダイキンは同社製の業務用エアコンの圧縮機を回収し、東京エコリサイクルが分解・脱磁、レアアース磁石取り出しを担う。
ダイキンから提供される技術情報をもとに、東京エコリサイクルは日立とともに家庭用圧縮機のリサイクルで培った技術・ノウハウに、AI画像認識技術とロボットを連動させ、型式ごとに異なる分解プロセスの効率化を図る。
また、直接的にCO2を発生させない共振減衰脱磁技術(磁石に交流磁界を与え、磁化の共振現象を利用しながら、その振幅を徐々に減衰させて最終的に脱磁する方法)を用いて環境負荷を低減。そして、取り出したレアアース磁石を再生素材として、信越化学が新たにレアアース磁石を製造する。
今回のスキームは、レアアース磁石のリサイクルを通してサーキュラーエコノミー、サプライチェーンにおける環境負荷低減を促進する取り組みとなる。
将来的には、同じく業務用エアコン事業を手がける日立グローバルライフソリューションズなど、協創のビジョンに賛同する企業・団体のパートナー作りなどを通して、新たなビジネスモデルとして拡大させ、エアコン業界のみならず製造業全体のGX(グリーントランスフォーメーション)に貢献していく考えだ。
今後、4社は2026年中に自動化装置などの開発を進め、2027年から同スキームの本格稼働を開始する予定している。
各社のサーキュラーエコノミーに関する取り組み
ダイキンは、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを重要施策として推進。エアコンに不可欠な冷媒の回収・再生を最優先課題とし、安定的な循環利用に向けた体制整備を進めるほか、製品の小型化や長寿命化、使用材料の削減や材料転換など、設計・開発段階から資源循環を意識した取り組みも行っている。
製品のライフサイクル全体を通じて環境負荷の低減と資源の有効活用を図り、循環型社会の構築に貢献していく。
信越化学は、サーキュラーエコノミーを企業が取り組む重要な課題と認識しており、資源の有効利用で地球環境に貢献するだけでなく、競争力を高め、永続的に発展することを目指す。
資源循環においては、顧客や関連の業界団体とも協力し、最新の技術を駆使して使用済みの製品を回収し、資源を取り出して自社グループの製品に再利用している。これらの取り組みにより、顧客と同社グループの廃棄物を削減することができることに加え、資源の再利用により環境の保全にも貢献しているという。
日立のコネクティブインダストリーズ(CI)セクターは、幅広い産業向けのプロダクトとリサイクル経験・知見を有しており、日立グループ経営計画「Inspire 2027」において、サーキュラーエコノミーを今後の事業の中核に据え、デジタル技術も活用しつつ、資源循環に関する新たなイノベーションを創出し、地球環境の維持を目指している。
日立のCIセクター インダストリアルソリューションビジネスユニットでは、プロダクトにおけるインストールベース(デジタライズドアセット)のデータにドメインナレッジと先進AIを組み合わせた次世代ソリューション群「HMAX Industry」に注力している。
これらをコアとする、インダストリアルソリューションの提供を通じて、顧客のライフタイムバリューを最大化し、グローバルに産業を変革することで、豊かな社会の実現を目指す。
東京エコリサイクルは、使用済み製品を地球資源と捉え、回収した資源が効率的かつ有効に利用されることを通じて、ステークホルダーとともに、持続可能な循環型社会の構築、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みに貢献していく考えだ。
