次は名前からしてそそられるボーイングフィールドだ。レンタカーならそのまま足を伸ばせるし、なくとも市内から路線バスで直結されており簡単に行くことができる。

屋外にはエアフォースワンも

ただし、ボーイングフィールドのボーイング施設は一般公開されていないので、目指すのはミュージアム・オブ・フライト(MOF)である。ここはアメリカ有数の航空博物館であり、超音速旅客機コンコルドや大統領専用機エアフォースワンの機内を見学できるほか、創業期のボーイングの社屋「レッドバーン(赤い納屋)」も復元されている。

入館料は19ドルだが、中に入らなくとも航空グッズを扱った売店やカフェテリア、トイレは利用することができ、博物館前の駐車場からボーイングフィールドを離着陸する飛行機を間近に見ることができる。

アメリカ有数の航空博物館であるミュージアム・オブ・フライトには、レッドバーンと呼ばれたボーイング創業当時の社屋も復元されている

マッハ2で飛ぶことができた超音速機コンコルドは機内を見学することもできる

米大統領専用機として使われた707。やはり機内を見学することができる

MOF内にはあらゆる機体が所狭しと並べられている

バスで行くならトランスファーチケットを

路線バスを使う場合の行き方は、市内を貫く「3rd Av(サード・アベニュー)」で「124」と書いてある南行きのバス停を探し(スペースニードルとは反対方向。約2ブロックごとにある)、同じ番号のバスが来たら前方ドアから乗り込む。バスは約30分間隔で運航されており、料金は時間によって異なるが2.5ドルから3ドルだ。

市内から124系統の南行きバスを利用。トランスファーチケットで途中下車も可

降りる時には、窓に張られたワイヤーを引くかボタンを押して合図する。日本のように案内がないこともあって不安かもしれないが、乗る時に運転手に「ミュージアム・オブ・フライト?」とでも言っておけば声をかけてくれるかもしれない。乗車時間は約30分である。

また、乗る時に運転手が渡してくれるトランスファーチケットがあれば、途中下車してもそこに記載された時間までは次のバスに無料で乗れる。MOFからの帰路には別のボーイングストアや滑走路端の撮影ポイントも通るので、寄り道する人には便利だ。

実際に乗ってみるのも手

737の工場があるレントン空港にはレンタカーがないとアクセスが難しい。もちろんフトコロに余裕のある人はタクシーを使うのもいいが、せっかくお金が使うならばヘリコプターをチャーターして空から訪れてみるという手もある。ボーイングフィールドには日本人パイロットのいるクラシック・ヘリコプター社があって、乗客3人まで乗れるヘリコプターを1時間500ドル程度でチャーターできる。

日本人パイロットもいるクラシックヘリコプターでヘリコプターをチャーター

レントン工場は滑走路が短いので初飛行でボーイングフィールドに移動する(ヘリコプターからの風景)

また、市内から歩いても20~30分のユニオン湖には水上飛行機の発着ベースもあり、近郊とのコミューター飛行を行っている。日本では珍しい水上飛行機を眺めたり、乗ってみたりするチャンスといえるだろう。

市内からも徒歩でいけるユニオン湖には水上機のベースもあり、乗ることもできる

※記事中の情報は2014年7月取材時のもの

筆者プロフィール : 阿施 光南(あせ こうなん)

1958年生まれ、東京都出身。航空工学を専攻した大学時代からプロカメラマンとして活動。対象は主に民間航空分野だが、スカイスポーツから宇宙開発、あるいは気象解説まで多彩な著書がある。また、旧軍用ジェット機の操縦訓練を受けたパイロットでもある。