厚生労働省が設置した「働きやすい・働きがいのある職場づくり」プロジェクト企画委員会はこのほど、働きやすい・働きがいのある職場づくりを進めるために、中小企業が利用できる各種ツールを作成した。

7割以上の企業が、人事評価の調整を複数の評価者で行う等の評価・処遇制度を実施

働きやすい・働きがいのある職場づくりのための情報や資料を集積

同ツールは、中小企業の取り組み事例、中小企業事業主向けの支援策や、調査報告書の概要を掲載したポータルサイト「働きやすい・働きがいのある職場づくりサイト」を設置するとともに、 「評価・処遇」「人材育成」「業務管理・組織管理」「人間関係管理」に取り組む中小企業の事例を業種別・取り組み別に紹介した事例集「働きやすい・働きがいのある職場づくり事例集」を公開したもの。

同サイトでは、雇用管理改善に取り組む中小企業事業主向けの支援策や雇用管理制度などの取り組み状況と、「働きやすさ」「働きがい」との関係などについて、中小企業の人事担当者(企業調査)と中小企業で働く従業員(従業員調査)を対象に調査した調査報告書の概要等も閲覧できる。

働きやすい、働きがいのある職場づくりに取り組む中小企業が多い

7割以上の企業が「従業員の自己啓発・資格取得に対する補助」を実施

同サイトで公開された調査報告書(企業調査)によると、調査対象となった中小企業においては、「目標管理を実施する」や「人事評価やその調整を複数の評価者が行う」といった「評価・処遇制度」を実施する企業が70%、「従業員の自己啓発・資格取得に対する補助を行う」など「人材育成への取り組み」に取り組む企業が70%、「朝礼や社員全体会議を通じて会社のビジョンを共有する」「従業員に対する表彰や報奨などを行う」など「業務管理・組織管理、人間関係管理」に取り組む企業が70%など、「働きやすい」「働きがいのある」職場づくりに取り組んでいる企業が多かった。

適切な施策は、従業員の意欲を高め、企業の業績に大きな影響あり

また同じく同サイトで公開された調査報告書(従業員調査)によると、「評価処遇・配置」「人材育成」「業務管理・組織管理」「福利厚生・安全管理・精神衛生」に関する全ての項目において、「実施されている」と回答した人の方が、「実施されていない」と回答した人よりも、「働きがいがある」「どちらかといえば働きがいがある」と回答した割合が高かった。

働きがい・働きやすさがある会社は、従業員の意欲が大幅に高い

特に「本人の希望ができるだけ尊重される配置」「自分の希望に応じ、特定のスキルや知識を学べる研修」「各自に与えられた仕事の意義や重要性についての説明」「従業員の意見の会社の経営計画への反映」「提案制度などによる従業員の意見の吸い上げ」「経験が浅い社員に仕事を任せ裁量権を与える」「職場の安全管理に関する研修」の各項目が実施されている場合、「働きがいがある」「どちらかといえば働きがいがある」と回答した従業員の割合は、それぞれ20%以上高かった。

働きがい・働きやすさがある会社は、そうでない会社に比べ業績が高い

さらに、「働きがい」や「働きやすさ」がある会社では、従業員の仕事に対する意欲が高く、職場への定着が進みやすい傾向があり、さらに、会社の業績も高い傾向にあることがわかった。

※全グラフ出典 厚生労働省「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書(概要)」