ジャズシンガーの綾戸智恵が20日、都内で行われたドキュメンタリー番組『綾戸智恵 その歌声が変わった日~父と母の痛みを抱いて~』の記者会見に出席した。
同番組は、映画『かぞくのくに』などで知られるヤン・ヨンヒ監督が、"家族"をテーマに綾戸を追ったドキュメンタリー作品。認知症の母親から本当の父親の存在を聞かされた綾戸は、デビュー15周年を機に父親を探す旅を始め、自身のルーツを知る人々と運命的な出会いを果たす――というストーリーで、番組は30日22時からWOWOWプライムで放送。
番組内で本当の父親を知ることになった綾戸は、「隠さず見せたろかと思った。真実を知ると怖いもんなし! 真実に立ち向かったら、やらなあかんことが見えるようになった。余生が光り輝いております」と晴れやかな表情であいさつ。綾戸と20年来の付き合いだというヤン監督は、「いつ『撮影を止めて』と言われるのかビクビクしてた」と撮影時の心境を明かしつつ、「自分のバックグラウンドを晒した上で、これからもやっていくという腹の座り具合があっぱれ」と称した。
親戚一同で秘密にしていた父親が明らかになった時を、「毛穴がパチパチして、熱すぎる風呂に入ったよう。生まれてから56年間の感情をいっぺんに感じた」と振り返った綾戸。その出来事は、自身の音楽活動にも影響を与えたようで、「自分を知ったおかげで、中から出てくる力が増えた。曲がったことはせえへんで、"新生綾戸"としてやっていこうと思う。死ぬ日までしっかり歌いたい」と力強く語り、最後に「ここに私があるという番組に仕上がった。息してる人全部、犬でも猫でも泣くはず。家族そろって観て欲しい」と胸を張ってアピールした。