「別府八湯」とも呼ばれる、泉質の異なる8つの温泉が湧く大分県別府。とりわけ薬効が高く、青磁にもたとえられる青みを帯びた白濁色の湯で知られているのが明礬(みょうばん)温泉である。そこで明治8年(1875)から創業している「岡本屋」では、2匹+1匹の看板猫が出迎えてくれる。
庭園内の露天風呂に「地獄蒸しプリン」
岡本屋の温泉には、明礬橋を眺めることができ大浴場(男湯)、湯治場情緒が味わえる檜風呂(女湯)、飲泉も楽しめる岩風呂(男湯/女湯)、そして千坪の庭園内にある露天風呂(男湯/女湯)などがある。特に露天風呂は四季折々の表情を見せる庭園に囲まれ、1年を通して青磁色の温泉と一緒に景色も楽しめるとして人気が高い。
食事では、素材の持ち味を生かした郷土料理が振る舞われる。地元のブランド食材でもある「豊後牛」や「関さば/関あじ」(別注で注文可)のほかに、旬の食材を温泉の蒸気で一気に蒸し上げる「地獄蒸し」が名物だ。また、売店やお茶屋で販売されている「地獄蒸しプリン」も名物となっており、苦みが効いたカラメルと濃厚な味わい、そして温泉のスパイスがぎっしりと詰まった自慢の一品とのこと。
看板猫たちは部屋に遊びに来ることも!
看板猫は、黒猫の「ちびくろ」、キジ白の「ちびすけ」、そして人前には滅多に姿を見せない「フク」という3匹で、全員が2歳のオス。3匹とも元は捨て猫で、仔猫の時に保護されて岡本屋のオーナーが飼い主となり、旅館のスタッフが世話をしている。
ちびくろは、いつも人が見える場所でかつおぶしをもらおうと待ち構えている、食いしん坊でおっとりした性格。ちびすけは近所でもやんちゃぶりが評判という活発さで、先代「クロちゃん」が20年間守ってきた縄張りをしっかり受けつぎ、毎日パトロールに励んでいる。「フク」は前述の通り、滅多に姿を見せることがないため、幻の猫と言われているそうだ。
看板猫たちは基本的に営業スペースにいることはなく、朝から夕方までは外で遊んでいる。しかし、チェックアウトの時間などに玄関付近にやってきて、宿泊客に遊んでもらったりしているとのこと。時には宿泊客からの呼び出しで抱っこされたり、部屋に伺ったりすることもあるのだとか。
どうやら、猫たちに看板猫であることの自覚はないようだが、ちびくろとちびすけの2匹は、人見知りせずに宿泊客と良好な関係を築いている感じだ。日頃の疲れを温泉で洗い流し、名物料理で活力を得て、猫たちに癒やされる、そんなひとときを過ごしてみたい人は、岡本屋に足を運んでみよう。