日本総合研究所は6日、同社調査部によるレポート「ウクライナ情勢緊迫化による世界経済への影響」を発表した。同レポートでは、天然ガスの供給ショックがなければ、経済への影響は軽微と予想している。

貿易面では、欧州や主要国のウクライナ向け輸出シェアは大半で1%を下回るほか、中東欧諸国でも3%前後にとどまり、ウクライナ経済が失速しても影響は少ないと予測。一方、ロシア向け輸出については、欧州主要国ではシェアが2~3%前後と大幅な悪影響は回避される見込みだが、バルト3国は10%を超えており、深刻な悪影響が生じる恐れがあると見ている。

金融面では、オーストリアで比較的多めのロシア・ウクライナ向け与信があるものの、多くの国において、ロシア向けはGDP比で2%未満、ウクライナ向けは0.5%未満にとどまっており、金融システムに大きな混乱は生じないと予想している。

他方、1次エネルギーのロシア依存度は、欧州の大半が天然ガスの約半分をロシアからのパイプラインに依存しているため10~20%の高水準となっている。もし、ロシアが天然ガスの供給を絞れば、欧州各国はエネルギー不足による生産活動の大幅低下やインフレ加速などの事態に陥る可能性が高いと予測。その場合は、原油価格も高騰し、エネルギーの海外依存度の高い日本を含む東アジア各国でも、交易条件の悪化によりマイナス影響が生じると見ている。

主要国におけるエネルギーのロシア依存度(2012年)(出典:日本総合研究所Webサイト)