やなせたかしさん最後の原作となった絵本『アンパンマンとりんごぼうや』

昨年10月13日に94歳で亡くなった『アンパンマン』の原作者・やなせたかしさんに感謝の意を込めた「ありがとう! やなせたかし先生 95歳 おめでとう!」の会がやなせさんの誕生日である6日、東京・新宿NSビルにて行われ、シリーズ第26作となる映画『それいけ!アンパンマン りんごぼうやと みんなの願い』が、7月5日に公開されることが明らかになった。

2011年3月11日の東日本大震災以降、「そろそろ俺も引退だ」と話していたやなせさんは、震災後に生涯現役を決断。経験したことのない大災害と放射能汚染問題、そうした追い詰めらた状況の中で、「アンパンマンのマーチ」やアンパンマンのポスターを見て子供は笑顔を取り戻し、大人はその詩の深さに改めてユウキをもらったという報道をみて、やなせさんは現役続投を宣言している。

2012年は復興をテーマにした『それいけ!アンパンマン よみがえれバナナ島』、2013年は希望をテーマにした『それいけ!アンパンマン とばせ!希望のハンカチ』が公開された『アンパンマン』シリーズだが、本作は復興三部作の最終作にあたる。やなせさん最後の原作となった絵本『アンパンマンとりんごぼうや』をもとに、望郷と故郷の再建が描かれるという。

やなせさん直筆のイラスト

また、今回の発表と同時にやなせさんのラストメッセージも公開されている。全文は以下のとおり。

やなせたかし先生のラストメッセージ

新聞に連載されていた記録に感動しました。小さな村を改革して牧畜業に切り替え、ようやく軌道にのりはじめた時、東日本大震災で原発事故。放射能に汚染された村を離れ、村民はバラバラになります。しかし、その困難に屈せず、もう一度、愛する故郷を再建しようと努力しているという内容でした。これをもとに、今回は望郷と故郷の再建ということをテーマにしました。
リンゴをもってきたのは画面がキレイだからです。それに東北はリンゴ農家が多い。世界中にリンゴの木を植えるために旅している『りんごぼうや』は、久しぶりに故郷をめざして帰ってきます。故郷を美しいリンゴの里に蘇らせるために!