3人に1人が専業主婦を希望する時代

仕事と育児の両立。大変ではあるが働くという選択をした女性たちに、その理由を聞いた

厚生労働省が今年3月に15~39歳を対象に行った意識調査によると、独身女性の3人に1人が結婚後は専業主婦を希望しているという。その理由として、約6割が「女性には家事や子育てなど、仕事をするよりもやるべきことがあると思うから」、約3割が「夫がしっかり働けるようにサポートするのが妻の役目だから」を挙げている。そこで編集部では実際に出産後、専業主婦を選んだ女性にアンケートを実施。専業主婦を選んだ理由を聞いてみた。

※※子を持つ有職主婦に聞く「働く理由」 - 自己実現、気分転換といった意見も※※

まずは、専業主婦を選ぶ必然的な条件として挙げられるのが経済的余裕。「家計の足しになる程度の収入を稼ぐために家庭を犠牲にするほど、生活に困窮していない」(37歳主婦 7歳・3歳男児)など、夫の収入だけで家計が成り立つことが専業主婦の大前提である。

また、「小さなときから子供に習い事をさせてあげたい。習い事の送迎時間を考えると、就労しながらは難しい」(37歳主婦 7歳・3歳男児)、「仕事をしながら綱渡りのような生活をしていくのは家族に対して気持ちが苦しい。なるべくゆったりした環境で子供を育てたい」(38歳主婦 6歳女児・1歳男児)など、低年齢の時期はできるだけ子供との時間を大切にしたいと考え、専業主婦を選んでいる人も多かった。

しかし、現在は専業主婦でも子育てが一段落で、社会復帰を考えている人が大多数のようである。「周りの専業主婦のうち9割が、いずれは働きに出ようと思っている。残り1割は大金持ちか、もともと働く気がない人。専業主婦も意外に求人情報をチェックしている」(37歳主婦 7歳男児・3歳男児)。

ただし、求人の内容が状況に合わず、働くことを諦めているのが実状のようでもある。「幼稚園に行っている時間帯に働こうとすると、キャリアとは無関係のものばかりで躊躇している」(37歳主婦 6歳・4歳女児)、「社会復帰したい人は多いが、時間的拘束から本当に望む仕事ではなく、妥協して仕事を見つけざるを得ない。プライドが高いと言われればそれまでだが、妥協してまで小金を稼ぎたいとは思わない」(37歳主婦 7歳・3歳男児)といった本音も。また、「求職中では保育園に預けることができない。保育園に預けられないと、仕事を探すことも面接を受けることも難しいのが現状」(37歳主婦 6歳・4歳女児)といったジレンマを抱える人もいる。

一方、専業主婦を選択した人の中には、第2子の出産を機に離職を決断した人もいる。「1人目のときには生後半年で復帰したものの、最初の1年は子供の通院が非常に多く、その後の2年は毎日ほぼ終電帰りの生活で子供とゆっくり過ごした記憶がとても薄い。迷いながら何とか両立していたが、同じペースで働き続けるなら子供は1人で限界と思っていたため、2人目を授かることができたら生き方を変えようと思っていた」(38歳主婦 6歳女児・1歳男児)。

独身女性の3分の1が希望しているという専業主婦。調査の結果でも結婚前は家族への献身的なサポートに意義を感じている人が多いようだが、実際の専業主婦は、少なからず自分の意志と現実とのはざ間で心が揺れているようだ。