シングルモルトウイスキー「グレン グラント」をご存知だろうか。スコットランドで1840年に創業したグレン グラント ディスティラリー社が手がけ、日本では今年4月にアサヒビールが販売開始した。このほどマスター・ディステラー(蒸溜所責任者)であるデニス・マルコム氏が来日、10月16日にテイスティングイベントが行われた。
イベントではデニス氏がウイスキー専門誌「Whisky World」編集長の土屋守氏とともに登壇。グレン グラントの長い歴史、デニス氏のグレン グラントに対する情熱についてなどを語った。
スコットランドで170年の歴史ある蒸溜所
グレン グラント ディスティラリー社は1840年、スコットランド北部のハイランド地方の中心に位置するスペイサイドで創業。ジョンとジェームズのグラント兄弟、その息子、その孫の創業者ファミリーとデニス氏の4代が、170年という歴史を守ってきた。
デニス氏は現在67歳。グレン グラントの中にある職員住宅で育って、15歳で樽職人の見習いとして働き始めた。父も祖父もグレン グラントの職人だったのでそれは自然な道だったという。
イタリアでの人気「情熱的な国民性と一致」
グレン グラントは、シングルモルトウイスキーとして販売量が世界第6位。特にイタリアでは販売量ナンバー1、シェア7割の圧倒的人気を誇るという。「イタリアでほとんどの人がシングルモルトといえばグレン グラントと答える」と土屋氏。
デニス氏は「イタリアが単に寛容であっただけではなく、イタリア国民というのは情熱的な人たちです。僕自身もグレン グラントに対して情熱を持っています。そこで一致している部分があるんです。それこそグレン グラントは僕にとって仕事ではなく人生の生き方だということを言い切っても過言ではないと感じております」と話した。
また、トークイベントの最後には「仕事をするときには、どのようなお仕事でも必ず情熱をもってのぞんでいただきたいと思います。それこそ情熱を持っている人がすばらしいこのような商品をつくれると僕は信じております」と結んだ。
フローラル、ドライ、フルーティ、夏っぽい香り
会場でデニス氏に直接話を聞くことができた。「グレン グラントは僕の赤ちゃんです」と愛情を見せたデニス氏は、その豊かな味わいについて「フローラルでドライなフィニッシュ、フルーティーな余韻が楽しめる。あとから夏っぽいような香りがする。まさに"発見の旅"。一口ごとにちょっとずつ違った味わいが楽しめると思います」と話した。
おすすめの楽しみ方を聞くと、「バーベキューのときに氷やジュースで割ってワイワイ楽しむのもいいし、夕方友人たちと一緒に語りながら生(き)で楽しむのもいい。重要なのは"頻繁に"飲むってことです(笑)」と笑顔を見せた。
さらに、「日本人はシングルモルトの知識が豊富で、こだわって飲む人が多い。私たちのものをこだわって選んでいただけると思っています」と日本のウイスキーファンに向けて語った。
土屋氏は「ウイスキーは、一つひとつのブランドに作り手の思い、自然、文化、歴史が詰まっている奇跡の酒」とし、「グレン グラントは名酒。彼(デニス氏)みたいなキャラクター、彼ほどグラントを誰よりも愛している知っている人はいない。それも奇跡。豊かな歴史と作り手たちのカラフルなキャラクターによってつくりあげられ、世界に羽ばたいていくに違いないと感じています」と話した。
"入門酒"としても適したグレン グラント
グレン グラントのモットーは"Simplicity"(飾りけのないこと)。新鮮なモルトフレーバーで、クセがなく親しみやすい味わいが特徴で、カジュアルに楽しむことができるという。
アサヒビールのマーケティング担当者は、「よく飲むという人はもちろんですがこれから飲んでみたいなという人の"入門酒"としてもおすすめ。よく飲む人がまた原点に戻ってくるという意味での"入門酒"にもなると思います。また、女性が味わうのにも入りやすい。料理との相性もよく、繊細な風味の和食にもよく合います」と話した。
アサヒビールから日本で発売中の商品は「グレン グラント ザ メジャー リザーブ」(700ml/税別2,300円)、「グレン グラント10年」(700ml/税別3,020円)、「グレン グラント16年」(700ml/税別5,170円)の3アイテム。その1杯に、スコットランドの豊かな自然、170年の長い歴史、つくり手であるデニス氏の情熱を感じてみてはいかがだろうか。