仕事でのプレゼン、就職・転職活動での面接、人前で話す機会を避けては通れないのに、どうしても緊張してしまう…という悩みを抱えている人は多いはず。今回は、緊張したときの対処法を、フリーアナウンサーでメリディアンプロモーション代表の牛窪万里子さんにお伺いしました。
「成功例」をつくって、イメージすること!
牛窪さん:
やっぱり人前に出るのって誰でも緊張します。プロであっても、「みなさまお待たせしました」という第一声を発するとき、実はとてもテンションを上げて頑張ってるんです(笑)。でも、皆さんの言う「緊張」とはちょっと違うかもしれません。自分のモチベーションをあげるための、良い緊張になっているんです。「これから始まるな」というわくわく感。持っている緊張が、「どうしよう!」じゃなくて、プラス方向の緊張感に変わるといいんじゃないでしょうか。
そうは言っても、気持ちを切り替えるのはなかなか難しいですよね。不安があるから緊張する。不安を取り除くためには、練習が1番です。家の中で声を出して伝える練習をしておくとか、マイクを持って録音してみるとか、立ってしゃべってみるとか、実際と同じようなシチュエーションで練習するのが大事です。「うまくいったときの成功例」をつくって、そこに当てはめるといいんですよ。
たとえば釣りが上手な人だったら、大きな魚連れたときの手の感触だったり、見つけ方だったり、体感したことを使っていると思うんです。そのためには練習をすること、うまくいく前提で発表して、成功例を作ってしまうこと。
原稿を暗記するのではなく、箇条書きでキーワードを覚える
逆に失敗したら、トラウマになっちゃう…という方もいるでしょう。でも、そのトラウマを乗り越えさせてくれるのも練習なんです。私も放送で失敗してしまったことはあります。1回放送してしまうと、取り返しがつかないんですよね(笑)。でも、失敗したときに原因を定めて、反復練習をしました。例えば人の名前を間違ってしまったなら、絶対に間違えないように毎回練習をして頭にたたき込んでおきます。
ただ、練習を重ねるのは原稿を「暗記する」こととは違います。暗記してしまうとフリートークにならないので、相手にも「これは暗記だな」と伝わってしまうし、応用が利かなくなるんですよね。
覚える時は箇条書きにして、自分の言葉で再現するのが良いと思います。毎回言葉が変わってしまうかもしれないけど、それでもいいんです。まずキーワードだけ書いておく。重要なのは伝えたい中身であって、伝え方はそのときそのときで構わないんです。たとえとちってしまっても、自分の言葉で話せているのなら、全然問題ないと思います。
しゃべる前には、お茶よりお水
緊張感を和らげるのに、私は腹式呼吸をします。腹筋をつかって、息を吐き出すときはおなかをへこませて歯と歯の間から「スー」と息をもらすような感じ。吐き出したら今度は、鼻と口で息を吸い込み、おなかを膨らませます。横隔膜の上下運動なんですが、深呼吸よりも緊張感が和らぐと思います。
飲み物を飲むのも良いのですが、お茶はNG。喉ががからからになってしまうので、お水の方が良いですね。しゃべっているうちに喉が乾いてしまうと、余計に緊張してしまいます。会議で出席者に飲み物を出す場合も、お水の方が良いかもしれませんね。
牛窪万里子
元NHKキャスター、フリーアナウンサー、メリディアンプロモーション代表取締役。サントリーに勤務した後、フリーアナウンサーに転身。NHK「おはよう日本」、「首都圏ネットワーク」、テレビ東京「レディス4」などでリポーターとして活躍する。また、自身が代表を務めるメリディアンアナウンススクール講師としても活動。著書に『初対面の相手も、おもわず本音をもらすアナウンサーの質問レシピ』(総合法令出版)、『見るだけ30分!! あなたに合った「聞く」「話す」が自然にできる!』(すばる舎)など。