映画『許されざる者』が現地時間の6日、イタリアで開催中の第70回ベネチア国際映画祭の特別招待作品としてプレミア上映され、主演の渡辺謙をはじめ、柄本明、柳楽優弥、李相日監督が舞台あいさつを行った。
公式上映は22:00からと遅い時間にもかかわらず、会場には1,000人以上の観客が詰めかけ、渡辺と李相日監督の名前が読み上げられると大歓声があがった。135分の上映後、エンドロールが流れはじめると、場内はスタンディングオベーション。約10分間の鳴り止まない拍手のもと、キャスト陣が感無量の様子で立ち上がると、さらに大きな拍手が場内に響きわたった。目を潤ませた渡辺は思わず監督の手を取り、2人で手を掲げてその声援に応えた。
一夜明け、翌日に行われた囲み取材では「観客に届いた喜びと逆に自分自身が映画に引きずり込まれて恥ずかしかった」と振り返った渡辺。柄本も「映画ってすごいなと思った」と感想を口にし、柳楽は、『誰も知らない』(2004年)で最優秀主演男優賞を受賞した57回カンヌ国際映画祭以来となる映画祭に「(あのときは子供だったのであまり覚えていないが、)今回は完全に記憶に残りました。あとスタンディングオベーションが長くて興奮しました」と前夜の興奮を伝えた。
上映に先駆けて行われた記者会見では、映画化の経緯や日本の歴史の中にどのように取り入れて脚色したのかといった質問が多数寄せられた。『硫黄島からの手紙』(2006年)以来、クリント・イーストウッドと親交を持つ渡辺は、「映画会社から連絡を入れる以前に、まず僕から(イーストウッドのプロダクションである)エルパソにメールをして、リメイクの話があるがどう思うか、と訊きました。そうしたらとても寛大に『やってみてはどうか』という返事をもらった」と説明。「彼自身も自分が関わると作品に影響をすると思ったのか、自由にやらせてくれました」とその経緯を明かした。
同作は、クリント・イーストウッドが監督と主演を務めた映画のリメイク作品。海外のジャーナリストたちの間では、「リメイクに独自の視点を持たせ成功している」という声も多く聞かれ、レビューでは「オリジナルを超えるラスト」との見出しも躍っていた。