厚生労働省は8月30日、平成25年版労働経済白書を発表した。雇用情勢は、依然として厳しさが残るものの、このところ改善の動きがみられるという。
就業構造のサービス化が進む
労働経済白書は、雇用や賃金、労働時間、勤労者家計などの現状や課題について、統計データを活用して経済学的に分析したもの。2012年の雇用情勢を見ると、年平均の有効求人倍率は前年より0.15ポイント上昇の0.80倍。完全失業率は前年より0.3%ポイント低下し4.3%となった。厳しさは残っているが、改善の動きがある。
産業別に就業者構成割合の推移を見ると、サービス経済化が進んでいることがわかる。1990年は2割強だったサービス業が、2012年は約4割まで拡大。中でも近年就業者数が増えた産業は、社会保険・社会福祉・介護事業。一方、減った産業は建設業、製造業、卸売業等となっている。
白書では、製造業は良質な雇用の場を提供するとともに地域の雇用を支え、輸出によっても雇用を創出するなど日本経済に果たす役割は大きい、としている。しかし、グローバル競争下において、競争力強化を図るため、今後は新製品・サービスの開発力とともに人材の多様性や能力・資質を高める育成体系が必要であると提言している。
次に、企業が若手社員について不足していると考える社会人基礎力について聞くと、半数以上の企業が欠けている能力として、「働きかけ力」「創造力」「主体性」「課題発見力」「発信力」「計画力」などを挙げた。
また、企業が若年者を採用する過程においては、熱意、行動力、協調性といった人間性や人物像をより重視していることも明らかとなった。