8月18日、ディファ有明にて開催された「ニコニコダンスマスター FINAL」をもって、ニコニコダンスマスターは3年の歴史に幕を下ろした。来年からはイベントをリニューアルし、別の形でダンスイベントが開催されるというが、詳細はまだ発表されていない。

――ところで皆さんは、そもそも「ニコニコダンスマスター」(通称"ダンマス")がいかなるイベントだったのかをご存知だろうか。本稿では「ニコニコダンスマスター FINAL」を写真と共にレポートしながら、ダンマスがどんなイベントで、いかにして始まり、現在に至ったのかをまとめてみたい。

ディファ有明で開催されたダンマスファイナルは4時間に及ぶ長丁場だったが、最後まで大きな盛り上がりを見せていた

ダンマスは、一言でいうならニコニコ動画におけるダンスの祭典だ。ニコニコ動画にはさまざまなカテゴリがあるが、中でも歌ったり演奏したりといった「してみた」系と呼ばれるジャンルが一大勢力を築いている。「踊ってみた」はその「してみた」系に属するカテゴリであり、文字通りボーカロイド曲やアニソンなどをBGMに「踊ってみた」ところを動画にしたものだ。

その歴史は古く、最初に「踊ってみた」というタグが生まれたのは、ニコニコ動画が誕生した2007年頃までさかのぼる。

現在「踊ってみた」のBGMで主流となっているボーカロイドが出現する以前ということもあり、初期の「踊ってみた」動画はどちらかといえば本格的なダンスではなく、何かしらのネタを仕込んだお笑い系の動画が主流となっていた。

先鞭をつけたのは「ニコ麻呂」と呼ばれる青年。当時ニコニコ動画内で流行していた「レッツゴー! 陰陽師」をコスプレで踊った動画が話題となり、「踊ってみた」という言葉が生まれたのだった。

「東京じゃない探偵団」

「まびてち」

「アルスマグナ」

「PCF」

「光速猫仮面」

そこから「踊ってみた」は「男女」ブームや「少し楽しくなる動画」ブーム、ボカロブームなどのムーブメントに乗りながら次第に人気を拡大していく。本格的なダンス経験がなくてもダンス動画を投稿できる空気がニコニコ動画内に醸成されていたことが投稿のハードルを下げ、ジャンルの拡大に拍車をかけた。

そして2010年。盛り上がる「踊ってみた」の人気ユーザーを集めて、ニコニコ動画公式としては初となるダンスイベントが開催されることになった。これが「ニコニコダンスマスター」である。

今でこそニコニコ動画の公式ライブイベントは毎年のようにさまざまなジャンルで開催されているが、2010年の段階では「大会議」と呼ばれる、ライブイベントと記者会見を融合した特殊な公式イベントくらいしか存在しなかった。特定のカテゴリに限定した公式ライブイベントとしては、ダンマスがパイオニアなのである。

MCは百花繚乱、みゃこ、爆笑コメディアンズが務めた

光線やスモークの演出が舞台を彩った

「EcRaip」

「まゆあわ」

「喘息×カブタン」

「むすめん。」

「りりり」(中央)

「コハたく」(中央2人)

「GIFT枠」

「まなこ×やっこ」

「1年25組」

「p's」

「AMU+弟」(AMUは中央)

初回のダンマスはラフォーレ原宿で開催されたが、その後は規模を拡大。第2回ではディファ有明へと場所を移し、第5回開催となる「FINAL」に至る(途中一度だけニコファーレで開催されたことがあった)。3年が経過してもジャンルの人気は衰えるどころか、若い世代を取り込んでさらに急成長しており、新たなダンスカルチャーとしてすっかり根付いた感がある。

それだけに、ダンマスがファイナルを迎えるという発表は、多くの「踊ってみた」ファンに衝撃を与えたに違いない。それもあってか、会場となったディファ有明は前日の「ミュージックマスター」以上の観客でごった返しており、イベント開演前から異様な熱気に包まれていた。……続きを読む