東京都は28日、「液状化による建物被害に備えるための手引」をホームページ上に公開した。都民が敷地の状況を把握し、適切な液状化対策を講じることができるようにするのが狙い。

同手引きには、主な記載事項として「液状化が発生する仕組み」「地盤調査の方法」「液状化対策工法」「行政等の相談窓口」などを掲載。それぞれの事項についてわかりやすく解説している。

それによると、地盤の液状化現象とは、地震が発生した際に地盤が液体状になる現象をさし、主に同じ成分や同じ大きさの砂から成る土が、地下水で満たされている場合に発生しやすいという。同じ成分や同じ大きさの砂でできた地盤は、砂の粒子が結びついて支えあっているが、地震が発生すると、繰り返される振動により地中の地下水の圧力が高まって砂の粒子の結合がなくなり、地下水に浮いたような状態になる。この状態が液状化だという。

液状化発生の仕組み(出典:東京都Webサイト)

液状化現象が発生すると、水分よりも比重が重い建物が沈んだり、傾いたりするほか、水の比重よりも軽い下水道のマンホールなどが浮き上がる場合もある。

東日本大震災では、震源から離れた都内においても、臨海部の埋立地だけでなく、内陸部の河川沿いにある池や水田を埋めた場所で地盤の液状化現象が発生し、建築物が傾くなどの被害が起きた。これは、明治時代以降の河川改修や埋立てなどの事業により、川や海だった場所が市街化され、地盤の液状化が発生しやすい場所が増えたことが要因だと考えられる。

都は、液状化による建物被害に備えるためには、土地の履歴や地盤特性など敷地状況を把握し、液状化の可能性について調査することが必要だと指摘。調査の際は、インターネットや行政の窓口で公開されている資料などを活用するほか、地盤や建築の専門家に相談するよう呼びかけている。

同手引きは、都のホームページのほか、東京都都市整備局ホームページ、都民情報ルーム(都庁第一本庁舎3階北側)、東京都都市整備局市街地建築部建築指導課(都庁第二本庁舎3階中央)、東京都多摩建築指導事務所・区市町村の担当窓口にて閲覧することができる。