「Scoot(スクート)」――。この名前を聞いて、航空会社だと思う人はまだ少ないのではないだろうか。「Airways(エアウェイズ)」や「Airlines(エアラインズ)」の文字はどこにもないからだ。

中・長距離路線を運航

スクートは、サービスに定評のあるシンガポール航空が100%出資する低コスト航空会社(LCC)。シンガポール航空は、シンガポール・チャンギ空港を拠点にした短距離(4時間以内)路線を運航するタイガー・エアウェイズというLCCに出資しているが、スクートは4時間~8時間程度の中・長距離路線を運航するLCCとして2011年5月に設立された。翌2012年6月にシンガポール - シドニー線で運航を開始。現在、5カ国6都市に就航している。

フレンドリーなキャンベル・ウイルソンCEO(左端)とスタッフたち (写真提供: スクート)

「スクート」という社名の名付け親は、キャンベル・ウイルソンCEO。「"Scoot"を辞書で引くと"すばやく動く"といった意味になるが、これに"Attitude(態度・姿勢)"を加えた合成語『スクーティテュード』をサービスの指針としている。例えば、魅力的で、面倒な手間のいらない、信頼できる、現代的でフレンドリー、一味違うといった意味が含まれている」(ウィルソンCEO)。

明るいイメージのキャビンアテンダントの制服

LCCの場合、エアバスA320などのナロウボディ機(単通路機)が使われることが多いが、スクートは中・長距離路線を運航するため大型旅客機(2通路機)のボーイング777-200を使用。エアバスA320と比べると、座席数は2倍以上の402席。座席のピッチ(前後間隔)がエコノミーより20cm以上広い「スクートビズ」も設置している。また、2014年の第4四半期には最新鋭旅客機のボーイング787の新機材を導入予定だ。

スクートの日本路線は、10月29日に開設された成田 - 台北 - シンガポール線。エコノミーで台北まで片道1万円台、「スクートビズ」で2万5,000円程度の格安運賃を設定。「シンガポール・チャンギ空港からタイガー・エアウェイズを使ってデンパサール(バリ島)へ行くなど、東南アジアへの旅行も割安料金で楽しめる。日本路線ではスキヤキを販売するなど、フライトに合ったサービスをどんどん入れていく」。

LCCに多い革張りではなく、布製のシートを使ったエコノミークラス。「スクートビズ」は機内食やアメニティ、座席指定などのサービスを無料提供(写真提供: スクート)