日本映画の独立系プロダクション56社の協同組合である「協同組合日本映画製作者協会」が最も将来性のある新人監督に与える「新藤兼人賞」を発表し、映画『その夜の侍』の赤堀雅秋監督が金賞を受賞した。

映画『その夜の侍』主演の堺雅人(右)と赤堀雅秋監督

「新藤兼人賞」は、プロデューサーが「この監督と組んで仕事をしてみたい」「今後この監督に映画を作らせてみたい」という観点からその年度で最も優れた新人監督を選出する賞。他の映画賞とは全く違う選考基準を持っており、現役プロデューサーのみが審査員をつとめる日本で唯一の新人監督賞となる。今年で17年目を迎えるこの賞は「新人監督たちを発掘・評価し、今後の日本映画界を背負ってゆく人材を育てたい」というプロデューサーたちの想いから、1996年に「最優秀新人監督賞」という名でスタートしたが、2000年より"日本のインディペンデント映画の先駆者"である新藤兼人監督の名前を冠に現在の名称となった。

これまでの金賞受賞者は、是枝裕和監督(1996年/『幻の光』)、橋口亮輔監督(2002年/『ハッシュ!』)、李相日監督(2003年/『BORDER LINE』)、沖田修一監督(2009年/『南極料理人』)など。12月7日(金)には、東京會舘にて授賞式が行われる予定で、受賞者には、故・新藤兼人監督が自らデザインしたトロフィーと共に、副賞として金賞には100万円、銀賞には50万円が授与される。

初監督作品でありながらも「新藤兼人賞」金賞を受賞した赤堀監督は「身に余り過ぎる光栄です。何の謙遜でもなく、支えていただいたスタッフ、キャストの皆さんのおかげです。映画界の異端の巨匠・新藤兼人さんが、演劇界の極北の人間と揶揄される僕の頭を優しく撫でてくれたようで本当にうれしいです(笑)。これからも生々しい人間を描くべく精進致します」と喜びをあらわにするとともに、今後も人物描写に力を注いでいくことを強調した。

映画『その夜の侍』は、ひき逃げ事件で最愛の妻を殺されてしまった男・中村健一(堺雅人)が、犯人の木島宏(山田孝之)を追い詰めていく復讐劇。今年8月にカナダで開催された「第36回モントリオール世界映画祭」にも出品され、初監督作品が集められる「ファースト・フィルムズ・ワールド・コンペティション」部門にも名を連ねていた。11月17日(土)より全国公開。

(C)2012「その夜の侍」製作委員会