7月4日、新しい時代を切り開くリーダーを選出するプロジェクト「CHANGEMAKERS OF THE YEAR 2012(チェンジメーカーオブザイヤー2012)」の授賞式が六本木アカデミーヒルズ49タワーホールで開催された。
今年で3年目となる「CHANGEMAKERS OF THE YEAR」は、日経BPが運営するビジネスパーソンのためのWebサイト「日経ビジネスオンライン」が主催している。
このプロジェクトは「あらゆる分野で画期的な市場や成果を生み出そうとする変革者・先駆者・挑戦者」である「チェンジメーカー」を、同社の専門媒体読者による投票で選出するというもの。
2012年2月20~3月8日に行われたプレ投票では約23万人、2012年3月30日~5月9日の最終投票では約80万人が回答。リシュモン ジャパン カルティエが特別協賛し、表彰部門は「経営・マネジメント部門」「クリエーター部門」「研究者部門」の3つが設けられている。
【CHANGEMAKERS OF THE YEAR 2012受賞者】
●経営・マネジメント部門
ミュージックセキュリティーズ 代表取締役
小松真実氏
●研究者部門
独立行政法人 海洋研究開発機構 プログラムディレクター
高井研氏
●クリエーター部門
作曲家、音楽プロデューサー
中田ヤスタカ(capsule)氏
※授賞式は欠席
授賞式は「日経ビジネスオンライン」編集長の飯村かおり氏による発表・総評を経て行われ、式の後には各受賞者がそれぞれのフィールドにおける取り組みや思いをスピーチした。
研究者部門受賞者の高井研氏は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)のプログラムディレクターであり、深海での生態系調査を通じて生命の起源への研究を行っている。太陽の光が及ばない太古の極限的な環境に近い深海を潜水艇「しんかい6500」で調査し、独自のサイクルをつくって生きる微生物「ハイパースライム」を発見。太陽光をエネルギー源とした生態系とはまったく異なる生物という、新しい真実(リアル)を提示した。
高井氏の究極的な研究は宇宙で最初に生命を見つけ出すことであり、土星の衛星である「エンケラドゥス」にある海をその対象にしている。そのためにはまず、エンケラドゥスの海からサンプルを採取することが必要であり、現在、15年先の成果に向けてプロジェクト始動を目指している。
「私たちの研究は直接何かの役に立つことではないかもしれない。しかし、生物の限界を理論ではなく現実的にアプローチする、新しいリアルを求めて自らの好奇心をくすぐるということで、科学的な発見のみならず、みなさんの好奇心をも高められればと思う」と語った。
経営・マネジメント部門受賞者の小松真実氏は、ミュージシャンを発掘して育てることから始まったファンド会社「ミュージックセキュリティーズ」の代表取締役。
2006年より音楽以外に酒蔵や農林水産業などとファンドの対象を拡大し、2011年には東日本大震災の被災地における志の高い33社のために、34本のファンドを通じて2.3万人から7.7億円を調達した。受賞記念スピーチでは、「単純なボランティアではなく、多くの投資家から集めた投資力で次の成長や革新を、そして次のチェンジメーカーを育てることが私の目標です」と語った。
クリエーター部門受賞者である中田ヤスタカ氏は、音楽ユニットcapsuleでアーティストとして活躍する一方で、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅなど、国内外数々のアーティストをプロデュース。
デジタル技術を駆使した「一度耳にしたら忘れられない」音楽を生み出している。授賞式は欠席であったが、メッセージ動画を通じて「素直に自分がいいなという音楽を主張することは難しい。でも、『みんながいいなと思うもの』に諦めて融合するのではなく、その『みんな』の中に『自分』がいるかを問いただしながら、どうすれば人に伝えられるのかを考えることが大切」とコメントした。
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