5月10日、都内にて、希少糖（レアシュガー）に関する記者説明会が開催された。希少糖とは、「自然界に微量しか存在しない、希少な単糖ならびにその誘導体」のこと。デンプンを酵素で糖化させて精製したぶどう糖に、別の酵素を加えることによって果糖を精製した後、その果糖にまた別の酵素を加えることで希少糖を生産することができるという。
抗糖尿やアンチエイジング効果も期待できる新素材
希少糖をさらに細かく分解すると、「D-プシコース」、「D-アロース」などの単糖に分けることができる。
D-プシコースは研究の結果、「食後血糖ならびにインスリンの上昇を抑制する効果（＝糖代謝）」と「抗肥満効果、動脈硬化抑制作用（＝脂質代謝）」が高いことが認められている。また、最新の研究結果では、D-プシコースを摂取することにより、ランゲルハンス島のβ細胞の劣化を抑えることができるため、糖尿病になりにくいことも証明された。
また、D-アロースに関しては、D-アロースと生理食塩水のそれぞれを使って中大脳動脈を60分間閉塞（へいそく）する動物試験を実施。その結果、D-アロースを用いたほうが、圧倒的に大脳の壊死（えし）を防げるという結果が出ている。
さらに、細胞活性酸素発生を抑制することがわかっており、抗高血圧、抗ガンなどに効果が期待されるとのこと。細胞活性酸素の発生は、老化の原因ともいわれているので、アンチエイジング効果も期待できる。
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希少糖は美容ドリンクにも配合されている |
和食やスイーツなど、幅広く活用できるシロップ
今回の発表会は、松谷化学工業株式会社（以下、松谷化学工業）と株式会社レアスウィート社（以下、レアスウィート社）の2社が合同で開催。希少糖含有シロップ「レアシュガースウィート」の全国での一般販売が、2012年6月1日から開始される。販売に先駆けて、同製品の身体への有効性をより多くの人に知ってもらうことが目的だ。
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製造は松谷化学工業が、販売はレアスウィート社が担当する |
同製品は、D-プシコース、D-アロースといった希少糖を15パーセント程度含むシロップ（液糖）である。カロリーは異性化糖に比べて2割程度低く、甘味は白砂糖の9割程度。従来の異性化糖と同様に、飲料や菓子類、めんつゆなどの調味料や総菜など、幅広く利用することができる。
「レアシュガースウィートは、白砂糖と比べて食材に染み込む速度が速いため、煮物などの料理に使うのにもってこい。また、果実酒を漬ける際に利用すれば、角砂糖を利用した場合と比較してかなり短い期間で完成させることができる」と、レアスウィート社 代表取締役社長・近藤浩二氏。
素材となじみやすく使い勝手がよいため、家庭で日常的に白砂糖代わりに利用することで、健康管理に役立ててほしいという。また、同製品は、全国販売に先駆け、香川県限定で2011年6月14日から法人向けに販売を開始している。そのため、香川県内ではすでに希少糖の認知度が高いそうだ。
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「砂糖がわりに使ってほしい」と近藤氏 |
現在、香川県内で「レアシュガースウィート」を商品に使用している企業は27社、商品点数は56点。その中には、「天然酵母 希少糖パン」、「希少糖よもぎあん餅」、「希少糖あんおはぎ」（以上、製造元：「甘露の店 アムリタ」）、「希少糖きなこ飴」（製造元：有限会社 香川商事）など、商品名で「希少糖」と打ち出したものもあれば、「さぬきげんきレモンケーキ」（製造元：「アイナ ふろーりあん」）、「オリーブコラーゲン」（製造元：有限会社 谷元紹介）など、香川の特産品を使用して作成している商品もある。
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素材や健康にこだわった食品にも使用されている |
梅をはじめとした、果実酒との相性もよい |
今回の記者発表会では、特産品とともに同製品が使用されている商品の試食会も開催された。「さぬき野カステラ」（製造元：「アイナ ふろーりあん」）、「レアスイーツプリン」（製造元：アゼリア）、香川銘菓である「大兎謨（だいうぼ）」（製造元：株式会社 かねすえ）などが並ぶ。いずれも甘さ控えめのやさしい味で、男性記者にも好評だった。
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希少糖を使えば少量で済むので、ダイエット中の女性にも最適なスイーツが作れる |
両社に話をうかがったところ、「『レアシュガースウィート』の認知度が高まることで商品の売れ行きが伸びれば、香川の活性化にもつながる」と期待しているという。
「レアシュガースウィートは、国内のみならず全世界に販売していきたいと考えている。既にアメリカのマーケットは好反応を示してくれているので、ヨーロッパやアジアにも販路を広げたい」とも語った。香川県生まれの希少糖が世界中で活躍する日は、そう遠くないだろう。
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