世界遺産に登録されたロワール渓谷や古城は観光スポットとなっている (c)Pascal Girault

旅好きに「ロワールで何が有名? 」と訊ねると、「ロワール渓谷や古城巡り」と大抵は返ってくる。確かに世界遺産の渓谷やロワール川流域に佇む数々の古城は息を飲むほど美しい。だがロワールに行ったなら、息だけでなくワインを飲まなくてはいけない。なぜなら、ここロワールはあらゆる面で「ワインのデパート」的要素が詰まっているからだ。

ロワールワインを紐解くカギ

赤・白・スパークリング・ロゼ・甘口……とワインのすべてのカテゴリーを網羅しているが、中でも白の生産量はフランス第1位! ミュスカデというブドウで造ったワインはライトで口当たりもよく、気軽に飲めるワインとして日本にも広く出回っている。

ブドウの栽培面積はフランス第3位。白ワインの生産量はフランス1位となっている (c)Philippe Caharel (c)BIVC

クレマン・ド・ロワールというスパークリングの生産量もフランス第1位(シャンパーニュを除く)。高級なシャンパーニュに比べるとお手ごろ価格で、しかも品質は高いということで人気が高い。

そして、今でこそ世界的に人気の高いロゼだが、一昔前までロゼといえばローヌ地方のタヴェル・ロゼかここロワールのロゼ・ダンジューと相場が決まっていた。ロゼの元祖ともいうべきか。

また、フランスの甘口というとボルドーのソーテルヌを思い浮かべる人も多いだろうが、実はロワールも甘口ワインの宝庫。遅摘みや貴腐ブドウなどから薄甘口~極甘口まで幅広く、高品質なデザートワインが造られている。

いかにバラエティ感があるかをお伝えしたところで、ロワール地方の位置関係に触れておこう。ロワール地方はフランスの北西部に位置し、大西洋に注ぐロワール河の流域に沿って東西に長いワイン産地である。産地は4つに区切られ、西からナント、アンジュー&ソーミュール、トゥーレーヌ、中央フランスとなる。ナントでは辛口白ワインのみ。アンジュー&ソーミュールは赤・白・ロゼ・甘口・スパークリングいずれも造られているが、ことにロゼは有名。トゥーレーヌも全タイプ造られている。中央フランスでは赤・白・ロゼが造られている。

(c)InterLoire