ムーディーズ・ジャパンは6日、トヨタ自動車の発行体格付及び無担保長期債務格付Aa2、同社の信用補完付き子会社の格付Aa2を引き下げ方向で見直すと発表した。トヨタ自動車の短期格付Prime-1は確認されており、今回の見直しの対象とならない。

今回の見直しの対象となる発行体は以下の通り。

  • トヨタ自動車

  • トヨタファイナンシャルサービス

  • Toyota Finance Australia Limited

  • Toyota Credit Canada Inc.

  • Toyota Motor Finance (Netherlands) B.V.

  • トヨタファイナンス

  • Toyota Finance New Zealand Limited

  • Toyota Financial Services (S. Africa) (Pty)

今回の格付の見直しは、3月11日の東日本大震災と津波、それらに伴うサプライチェーンの停滞の影響により、トヨタ自動車の財務指標と業績が低下するであろう、というムーディーズの見通しを反映している。

また、「トヨタ自動車の財務指標は、Aa2格付に見合う水準に比して見劣りしていたが、そうした見方は、ネガティブの見通しに反映されていた」(ムーディーズ)。

ムーディーズによると、トヨタ自動車の生産工場は地震と津波による直接の被害を受けていないが、今回の災害により、500品目程度の部品調達が滞っている模様で(一台につき、数万個の部品が使用されるものの)、「部品が1点でも不足すると、生産の重大な障害になりうる」(ムーディーズ)。

3月末の時点で、いくつかの工場で限定的な生産が再開されたが、「通常の生産体制が復旧するまでには数カ月を要する可能性がある」(同)。

加えて、トヨタ自動車の生産工場は、関東地域にはほとんどないが、「高い電力需要が生じる夏場には、電力不足が生じる可能性があるため、同社の部品サプライヤーは苦慮するだろう」(同)としている。