ムーディーズ・インベスターズ・サービスは22日、日本政府の「Aa2」の格付の見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更したと発表した。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスによると、今回の格付アクションは、経済・財政政策が、財政赤字削減目標を達成し、すでに他の先進諸国の水準を大きく上回っている債務の急激な増大を抑制できるほど十分に強固なものではない可能性があるとの懸念の高まりに伴なうもの。

「日本国債の発行が困難となるような危機的状況が短期から中期的に発生するとは考えにくいが、長期的にはその圧力が高まる可能性があり、現在の高い格付においても、その点を考慮する」(ムーディーズ・インベスターズ・サービス)としている。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスによると、今回の決定につながった具体的な要因は次の通り。

  1. 世界的な金融危機のショックが、日本の財政および悪化傾向にあった既存のデフレ圧力に、深刻かつ持続的な影響を与えたこと

  2. それに伴い、現在の政策の枠組みによって、財政赤字削減への軌道に戻す際に直面する課題を克服することが困難となったこと

  3. 債務および成長に関する課題に対し、与野党が有効な政策を打ち出す能力に対する不透明性が高まったこと

  4. 国内の人口動態上の圧力の高まり、および世界的な危機後の脆弱かつ不確実な経済環境において起こりうる新たなショックに対して、日本の長期にわたる漸進的な財政再建戦略が脆弱であること