日本銀行は3日、亀崎英敏審議委員が佐賀市で2日開いた金融経済懇談会後の記者会見の内容について公表した。これによると、亀崎委員は、S&Pが日本国債の格付けを引き下げたことについて、「市場の信認が確保されているうちに、日本の財政が再建への道筋をしっかりつけていくことがきわめて大事な課題」と述べた。

亀崎委員は、格下げ公表後の市場の状況について、「格下げに対して落ち着いた反応を示している」と評価。「日本の財政状況が厳しいにも関わらず、格下げに対して、金融市場が冷静に反応している背景には、今後の財政再建に向けた取り組みに対する市場の信認が引き続き確保されている証左だと受け止めている」との見解を示した。

その上で、「現在の欧州ソブリン問題をみても、金融市場は、経済・財政状況が大きく変わらない中で、突然変動するという非連続的な変化を時として示す場合もある」とし、「その意味で、市場の信認が確保されているうちに、日本の財政が再建への道筋をしっかりつけていくことがきわめて大事な課題であると認識している」と述べている。

また、国際商品市況の上昇については、「ベースには新興国の強い実需、そして天候不順等の供給ショック、さらには投機資金の流入といった金融要因など、複合的な要因によってもたらされている」との見方を示した。

さらに、国際商品市況の上昇においてヘッジファンドなどが値を吊り上げているのではないかとの指摘に関しては、「投機資金によって実需とあまりに違った動きが生じてしまうという状況は好ましくない」とし、「G20でもこういった動きを規制するのか、見守っていくのか、コントロールするのか、これが一つの課題となっている。今後、この点について議論が深まっていくと思うので、それが望ましい方向ではないか」と話している。