スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は6日、預金保険機構に「AA」の長期発行体格付けを付与した。アウトルックは「ネガティブ」。

預金保険機構の格付けは、同機構が日本の金融システムの安定性を維持するために預金保険を提供するという極めて重要な政策上の役割を担っていることに加え、日本政府と機構の一体性が極めて高いことに基づく。

S&Pによると、預金保険機構は1971年に公布された預金保険法に基づき、預金者などの保護と国内の信用秩序を維持する目的で設立。同法の何度かの改正を経て、機構は現在では、破綻した金融機関の財産の管理・処分を含むさまざまな業務を行っている。機構の目的としても、破綻した金融機関に係る資金決済の確保という目的が追加された。

機構の理事長および役員は、国会衆参両院の同意を得た上で、内閣総理大臣によって任命される。政府と日本銀行、民間金融機関が3分の1ずつ出資している一般勘定を除くすべての勘定は、政府が直接保有している。このため、機構の各勘定の出資金総額154.55億円のうち98%が政府出資となっている。機構は、資本注入、国債の交付、日銀からの直接融資など、政府からさまざまな種類の経常的な支援や特別支援を受け入れられる。したがって、S&Pでは、「万一、機構の流動性が逼迫した際に、政府が機構に支援を提供する可能性はほぼ確実」と考えている。

しかし、預金保険の提供者と破綻金融機関の金融整理管財人としての機能から、機構の一部の勘定はネットベースで赤字となっている。そのため、「機構のバランスシートは、徐々に改善しつつあるとはいえ、全般的には脆弱である」(S&P)。

「ネガティブ」のアウトルックは、日本の長期ソブリン格付けに対するアウトルックを反映している。