先週の米雇用統計を受けて、米経済に対するにわか期待が後退してしまいました。ユーロ圏の財政懸念に関しては依然不透明なうえに、新興国のインフレ警戒のスタンスが顕著なという地合いで、どの地域・通貨においても不安材料が交錯しそうな展開になりそうです。

米国SPX株価指数

まずは、米経済に対しては週末バーナンキFRB議長のインタビューが放送され(収録は、雇用統計発表前の11月30日なので、結果については知らないはずです)、6000億ドルの国債買い入れ規模について限定しているわけではないというコメントを出したことで、さらなる金融緩和の可能性があるのではないか? と市場ではみているようです。

雇用統計の内容に加え、住宅市場の低迷を見る限りでは米経済の回復地合いはそう簡単ではないだろうとは想像できますが、ここ最近のいくつかの雇用関連の数値改善とはギャップがあります。地区連銀経済報告では、多少なりとも改善の兆しが見えてきたと発表されていました。若干明るい兆しが出てきたためか、これまで求職を控えていた層がどっと出てきたために今回の思わぬ低下が出たのでしょうか? 米系金融機関の間では、来年に関しては意見が分かれるものの、2012年度については比較的ポジティブなマインドに変化しつつあるとか。

いずれにせよ、企業側のマインドがさらに向上していけば、良いのですが、それを推し量るアメリカ側のイベントは今週は少なめです。週前半は、米国債入札が予定されています。発表時間は日本時間の夜中なので、ドルに関心があるのであれば、入札結果次第の米金利の地合いの変化次第で、為替市場は右往左往すると思いますので、注意してください。特に低金利通貨同士のドルと円と見れば、ドル円の地合いは日々、ころころ変わるかもしれません。85円は近くて遠い存在になりそうです。

他の市場の注目材料としては、差し押さえ物件に絡んだ金融機関への負担や今進められているインサイダー疑惑の捜査次第では大手金融機関に対する懸念も出てくる可能性があります。

株式市場は米金利低下のシナリオが追い風となる一方、金融セクターの重しが出てくる可能性があり、高値圏でももみ合いの展開となるのでしょうか。

ユーロドル

そして、ECBの連続の国債買い入れの行動から、比較的堅調に推移しているユーロ。

週末を挟んでユーロの存在意義という点も含めて、様々な意見が出ていました。欧州当局者の間では、現状のユーロシステムの崩壊は見ておらず、問題視されている各国への対応も、現状では十分という認識にあるようです。ただ、信用リスクという点で、スペインにまで波及するとなると、問題はかなり大きくなります。

先週、英経済紙が掲載した欧州当局者の取りうる選択肢が話題になったようですが、一番現実的なのは国債買い入れ額の増加と、EU/IMFの支援枠の拡大でしょうか。また、様々な立場から、ユーロの将来に関してのコメントが出てきており、年末に向けて紆余曲折の展開になりそうです。ちなみに、一部では、ギリシャかアイルランドのユーロ脱退という可能性も指摘されています。(数年以内?)

こういった中、各国が財政政策を見直して赤字削減に取り組む姿勢という点ではプラス材料です。ただ、財政政策についてはECBにはなく、各国の政府が権限を持っています。よって、各国が提示している削減案がそれぞれの国の承認機関(通常は国会)を通過しなくてはなりません。今週は、渦中にあるアイルランドの予算案審議が水曜日に予定されています。アイルランドについては政局も不透明なことから、予算案が無事に通過するかどうかに市場の注目が集まっています。

欧州各国の債務について2011年度にかなりの額の借換え予定が控えていることから、それぞれが持つ問題(財政問題なのか、それとも金融機関の問題か)がそれまである程度解決しているかどうかは不透明。また、安定している側としては、ユーロ圏という枠とはいえ、国税を投じることに対する懸念はくすぶっています。将来的な投資家負担という話題は再燃しやすく、その場合には先週後半国債利回りが落ち着いた地合いも再度不安定になる可能性が高くなります。

今週は、ユーロ圏・EUの財務相会合が予定されています。

一旦は、落ち着いたユーロですが、各国財政赤字縮小に向けたコメントも含めて、まだまだ波乱がありそうな雰囲気です。

一方、先進国の混乱を横目に、堅調に推移している新興国経済。

インフレに対する警戒感の他に、短期資本流入に対する規制という点で、金利引き上げの傾向は継続すると市場ではみています。金利引き上げに関しては、好景気というバロメーターのように思いますが、市中金利という点では借換えコストの上昇になります。

一般消費者にとっては、住宅・自動車などのローンに影響が出てきますので、どこまで維持できるかどうかという警戒感は持った方が良いかと思います。日米欧において住宅バブルがはじけた後の後遺症の経験から、はじけた場合の負のスパイラルシナリオをどこまで想定しているのかどうか。各国当局者も気になるところでしょうが、過去のバブルにおいても過信(自分たちの市場は大丈夫、など)次第でそのあとの後遺症に差が出てくるため、一般的な投資家の高揚感には気をつけたいところです。

そして、規制については、海外投資家にとってはコスト負担増になります。これまでの外貨取引規制だけではなく、これからは税制・取引のコストが加わることになります。

つい、新興国の利回り・利率に注目が集まりますが、実際にコスト・リスクという点は投資家に転嫁されることになりますので、額面通りの配当等の収入が得られる割合は低下するかもしれません。年末も控えていることから、欧米市場のリスク許容度次第ではポジション解消リスクが出てくる可能性があります。

今週は、ブラジル・韓国の政策金融会合が予定されており、中国もこれまでの金融スタンスを修正することを示唆していることから、株式市場におけるリスク思考の変化には注意しておきたいです。どの程度当局スタンスが織り込まれているのかどうか。とくにアジア時間では中国市場の影響が大きく、来週月曜日には消費者物価指数などの経済指標がどっと発表されますので、注意が必要かもしれません。その上で、資源需要への影響がでやすいということも考慮して資源関連銘柄へ影響は考えておいた方が良いでしょう。

香港HS株価指数

先週の米雇用統計を受けて、市場ではどの地域においても懸念材料があるという状態でしょうか。消去法的に動く地合いと思われますので、神経質かもしれません。また、市場の通常の流動性は、来週ぐらいまでしか確保できません。その点では、海外の市場関係者はクリスマス時期を前に、不安材料が多ければ、ポジション解消という動きがでやすくなります。為替市場で注目されているIMM通貨先物ポジションにおいても、ポジションの縮小傾向にあります。つまりは方向性という点では来年に向けてどちらにも動けるようにしておくという傾向かもしれません。

よって、単純に材料に反応するだけではなく、前日までの地合いの積み上げという点をメディア等でチェックしておくことをお勧めします。

12月6日(月)
(豪)11月ANZ求人広告件数
(豪)NAB企業景況感指数
(米)ラッカー・リッチモンド地区連銀総裁 講演
(ユーロ圏)ユーロ圏財務相会合
(加)11月Ivey購買部協会指数
12月7日(火)
(豪)RBA理事会 政策金利 発表
(英)10月鉱工業生産
(英)10月製造業生産
(独)10月鉱工業受注
(加)カナダ中銀、政策金利 発表
(米)財務省3年債入札
(米)10月消費者信用残高
(ユーロ圏)EU財務相理事会
12月8日(水)
(日)10月機械受注
(日)10月経常収支
(独)10月貿易収支
(仏)10月貿易収支
(独)10月鉱工業生産
(米)MBA住宅ローン・借換え申請指数
(米)財務省10年債入札
(英)BOE金融政策委員会
(ユーロ圏)アイルランド政府、予算案審議
(加)11月住宅着工件数
(その他)ブラジル中銀 政策金利発表
12月9日(木)
(NZ)ニュージーランド中銀(RBNZ)、政策金利発表
(日)7-9月期GDP 2次速報値
(日)11月工作機械受注
(豪)11月雇用統計
(独)11月消費者物価指数 改定値
(ユーロ圏)ECB月報
(英)10月貿易収支
(英)BOE金融政策委員会 政策金利 発表
(南ア)第3四半期・経常収支
(米)新規失業保険申請件数
(米)10月卸売在庫
(米)財務省30年債入札
(その他)韓国中銀 政策金利 発表
12月10日(金)
(日)11月企業物価指数
(中)11月中国貿易統計
(日)山口日銀副総裁 講演
(仏)10月鉱工業生産
(英)11月生産者物価指数
(加)10月国際商品貿易
(米)11月輸出入物価
(米)10月貿易収支
(米)12月ミシガン大消費者信頼感指数 速報値
(米)11月財政収支