スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は10日、オランダを本拠とするINGグループの保険子会社の一部について、カウンターパーティ格付けと保険財務力格付けを引き下げ方向の「クレジット・ウォッチ」(CW)に指定したと発表した。

日本の保険事業子会社アイエヌジー生命保険の格付け(保険財務力格付け、自国通貨建て長期カウンターパーティ格付けともに「A-/ネガティブ」)は今回のCWの対象外。

今回のCW指定について、S&Pでは、(1)INGグループが2010年第3四半期(7-9月期)に現金支出を伴わない多額の特別費用を計上した、(2)金利などの市場リスク・エクスポージャーを踏まえると、変額年金事業に関するリスクが引き続き高いとのS&Pの見方、(3)米国の保険事業子会社6社の格付けをそれぞれ切り離して見直す可能性があること、を反映したものとしている。

2010年の市場金利の低下に伴い、「INGグループの変額年金事業に付随するリスクは米国事業を中心に拡大している」(S&P)。その結果、同グループは第3四半期に、のれん減損費用5億1,300万ユーロと、変額年金保険の想定失効率の見直しに伴う準備金繰り入れ3億5,600万ユーロ(大半が日本事業に関連)を計上した。

特別費用の計上に伴い、「2010年に保険事業が赤字になる可能性が高まっている」とS&Pはみている。「同費用は非現金項目であるものの、変額年金事業のリスクがINGグループの利益と自己資本を圧迫しつつあることを表している」(S&P)。一方で、2010年1-9月期の営業利益が前年同期比15%増となるなど、「中核の保険事業が堅調である点は、高く評価している」(同社)としている。