宝島社、NECビッグローブ、メモリーテックが3社で主催する小説コンテスト、第9回「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作が5日、決定した。大賞を受賞したのは、劇作家・乾緑郎氏の作品『完全なる首長竜の日』。本作は、2011年1月に単行本として同社より刊行される。

「このミステリーがすごい!」大賞は、宝島社が刊行するミステリー&エンターテインメントブックガイド{このミステリーがすごい!」が、エンターテインメント性重視の広義のミステリー作品を対象として2002年に開設。今回は、過去最高応募数となる408作品の中から、1次選考(20作品通過)、2次選考(6作品通過)を経て、大賞1作品、優秀賞2作品が選ばれた。

大賞の『完全なる首長竜の日』は、昏睡患者との意思疎通が可能となった近未来を舞台としたミステリー作品。最終選考会では満場一致で瞬時に大賞に決定したという。受賞者の乾氏は、「スタートラインに並べたことを、今は素直に喜びたいと思います。全てはこれからです」とコメント。最終選考委員の1人である、翻訳家・評論家の大森望氏は、「めくるめく迷宮感覚と独創性は映画『インセプション』を凌ぐ」と絶賛している。

また、優秀賞は、理系大学院生の初恋を巡るラブコメディ『ラブ・ケミストリー』(喜多喜久 著)と、児童虐待をモチーフとした『羽根と鎖』(佐藤青南 著)が受賞。喜多氏の作品は2011年3月、佐藤氏の作品は2011年5月に、単行本として刊行されることが決まっている。なお、今回、大賞には賞金1,200万円、優秀賞にはそれぞれ賞金100万円が贈られる。