武富士は28日、同日開催の取締役会において、会社更生手続開始の申立てを行うことを決議し、東京地方裁判所にその申立てを行ったと発表した。過払金返還請求の急激な増加などにより財務内容が悪化、「自力で事業継続した場合、資金繰りが破綻することは必至」として、自力再建を断念した。

会社更生手続開始の申立ては同日受理され、直ちに、東京地裁により保全管理命令、強制執行にかかる包括的禁止命令、保全処分命令、調査命令が発令された。

武富士は、会社更生手続開始の申立てを行うに到った経緯について、「いわゆる過払金返還請求が徐々に増加してキャッシュフローに悪影響を及ぼすとともに、貸金業者に対する金融機関の融資姿勢も徐々に厳しくなり、異業態からの新規参入による競争の激化などもあり、営業貸付金も2002年3月期をピークに徐々に減少した」と説明。

また、「2006年1月の貸金業法第43条のみなし弁済の要件に関する最高裁判決を契機とする過払金返還請求の急激な増加、これに伴う利息返還損失引当金の大幅な積増し、営業貸付金の減少に伴う営業収入自体の減少などにより、財務内容が急激に悪化した」とし、「2007年3月期、2009年3月期には、それぞれ4,812億7,400万円、2,561憶3,700万円の連結当期純損失を計上した」とした。

武富士では、こうした事業環境の急激な悪化に対応するため、新規貸付の抑制や、店舗の統廃合などを行ったが、新たな資金調達手段の制約や、過払金返還による資金流出の高止まりなどにより、資金繰りは悪化。

「このまま自力で事業継続した場合、その資金繰りが破綻することは必至」などとして、「会社更生法の手続きに従って抜本的な財務及び事業の再構築を行うことによって会社再建を目指す」とし、28日、会社更生手続開始の申立てを行った。

武富士によると、負債総額は4,336憶800万円(2010年6月30日現在の貸借対照表)。なお、負債総額は、会社更生手続において、今後増加する可能性があるという。