フィデリティ・インターナショナルは、親と子供の世話を同時に行っている世代層「サンドイッチ世代」に関する調査リポートを発表した。調査は2010年春 (4~5月)、同社のスポンサーシップによりEIU(The Economist Intelligence Unit)がとりまとめたもの。アジア7カ国(オーストラリア / 韓国 / シンガポール / 台湾 / 中国 / 日本 / 香港)在住で少なくとも子供1人、親1人の世話をしている(経済的な支援等を行っている)21~70歳の年齢層を対象に行われた。

アジア圏全体でみると、"年老いた両親の面倒を見るのは、子供の責務である"という考え方について、「全くその通りだ」(53%)、または「その通りだ」(25%)と答えた人の割合は、合わせて78%に達した。この背景について同社は「子は親を敬い、子が親に対して常に忠実であることを最高の美徳とする、アジア圏共通の儒教的な価値観が存在します」と分析する。

また、親と子供を同時に世話することが、家計面へどのようなインパクトを与えているかを尋ねたところ、当座の生活資金を工面するために、「より懸命に働かなければならなくなった」と答えた人の割合は36%に上った。一方、"サンドイッチ状態"の生活環境が原因で、家計の「貯蓄が減少した」と答えた人の割合は58%に、また当座の生活資金を工面するために、「投資額を減らさなければならなかった」(32%)と「既存の投資の一部を取り崩さなければならなかった」(17%)は合わせて49%と、ほぼ半数に達した。

日本とその他アジア圏を比較すると、アジア圏全体の全労働人口に占めるSW世代の人口比率は20%だが、うち日本のSW世代の人口比率は6%にとどまるとのこと(EIUの推計に基づく)。「日本にサンドイッチ世代の出現率が少ない理由としては、世界に冠たる長寿国・日本には、長年働き続ける健康な高年層が多いので、子供にかかる親の負荷が抑制されている点や、公的医療制度が整備されている点等が挙げられます」(同社)。

親の世話に費やす資金について尋ねたところ、全収入の「11%~40%」と答えた人の割合がアジア圏全体では51%を占めたが、日本では僅か25%にとどまり、日本の73%が全収入の「1%~10%」と答えた。さらに、親の世話に費やす時間についても、一週間あたり「0~10時間」と答えた人がアジア圏全体で50%であったのに対し、日本では78%に達した。

貯蓄先(複数回答可)では、「銀行」と答えた人が最も多く、アジア圏全体で79%だったが、日本ではその回答率が94%に上った。また退職後は、現在の生活水準を「維持できないと思う」と答えた人の割合は、アジア圏全体では42%なのに対し、日本では57%に達するなど退職後の生活を悲観的に見る傾向が高いことが伺える結果となった。 本調査リポートを発表するにあたり、フィデリティ投信 取締役兼代表執行役のトーマス・バルク氏は「日本では出生率の低下が社会問題となっていますが、この状況に歯止めがかからない限り、子供世代の負荷は重くなるばかりです。長年働き続ける健康高年層が多い等、アジア圏のなかでは相対的に恵まれた環境にある日本のサンドイッチ世代の人たちには、老後の資産形成について真剣に考えて貰いたいと願います。資産運用へ取り組むことが、将来、自分の子供が抱えるかもしれない負荷を最小限に抑える第一歩となるかも知れません」とコメントしている。