ひまわり証券のエコトレFXは、Webで利用できるFX(外国為替証拠金取引)自動売買ツールだ。100種類の売買システムが用意されていて、選ぶだけで、完全な自動売買が行える。昼間や深夜にトレードをする時間がとれない人にはうってつけのサービスだ。また、システムトレードをやったことがないというシステムトレード入門者にも適している。

しかし、問題は100種類もある売買システムの中から、どれを選んだらいいのかという点。前回は、選ぶためのポイントを、ひまわり証券営業企画グループ FX企画チームの小沼慶太氏に教えてもらった。今回は、よりステップアップして、それぞれの売買システムのロジックを詳しく教えていただいた。

「順張り」「逆張り」「短期」の3タイプを用意

まず、エコトレFXでは、売買システムはいくつ利用してもかまわない。というより、できれば性格の異なる複数の売買システムを組み合わせて、自分なりのポートフォリオを作っておくのが理想だ。そのためには、各売買システムのロジックを理解しておかなければならない。

もちろん、100種類もあるのだから、すべての売買システムの詳細を理解するのは無理な話に思えるが、売買モデルは、実は"実質7種類"。この7種類の売買モデルが、通貨ペアと時間足の組み合わせごとに適用されて、約100種類の売買システムとなっている。つまり、この7種類を理解してしまえば、自分のポートフォリオが作れるのだ。性格の異なる売買モデルを組み合わせてもいいし、あるいは同じ売買モデルで相場の動きが異なる通貨ペアを組み合わせてもいい。しかも、この7種類は、3つのタイプに分類できる。「順張りタイプ」「逆張りタイプ」「短期トレードタイプ」だ。

売買モデルの一覧

順張りタイプは、その名前の通り順張りを基本とするもの。上がり始めたら買って上昇相場に乗る、下がり始めたら売って下降相場に乗るという考え方だ。「ブレイクサーファー」「MAマスター」「ボラティリティランナー」がこのタイプ。

ブレイクサーファーは、一定期間内の「最高値+x」のところに買いの注文を入れる。逆に「最安値-x」のところに売りの注文を入れる。最高値よりも高い価格になったら上昇相場、最安値よりも安い価格になったら下降相場になったと考える。手仕舞いも同様に逆指値で指定しておく。一定のレンジをブレイクしたら、そのトレンドに乗っていくことから、「ブレイクサーファー」(※ドテンあり)と名付けられた。

※ 「ドテン」とは、売りと買いを入れ替えること。売りポジションを持っている時には、買い戻して手仕舞いをするが、同じ量だけさらに買うこと。売り、買いと連続してポジションをもつことになる。相場の潮目が変わるときに、うまくドテンがはまると、天井や底を挟んで、両側で利益を得ることができる。ただし、うまくいかず損切りに終わることもある。

MAマスターは、短期間の移動平均線と長期間の移動平均線が近づくか、離れるかを見ている。2本の移動平均線が離れたら、次の始値で買う。2本の移動平均線が狭まったら、次の始値で売る。長期の移動平均線というのはだいたいの場合、あまり大きな変化はしないゆるやかな曲線となる。一方で、短期の移動平均線は小さな相場の変化にも鋭敏に反応して上下しがちだ。

つまり、大きなトレンドが進む中で、反対方向の小さな変化が起こり始めると、新たなトレンドが発生し始めたとみなす。そして、買いで仕掛けた場合は、一定期間内の最安値で手仕舞い、売りで仕掛けた場合は最高値で手仕舞いする。移動平均(Moving Average)を利用するので「MAマスター」(ドテンあり)。

売買モデルのロジックの説明は、「エコトレFX」トップページのランキングの中にあるシステム名をクリックすれば、閲覧することができる

ボラティリティランナーは、売りポジションを持っている期間の終値を見て、その最安値にプラスして、ボラテリティ(価格変動)から計算した一定割り合いを加えた価格になったら、その終値で買う。買いポジションをもっている時は、最高値に一定割合を引いた価格になったら、その終値で売る。

複雑なことをやっているようだが、要は最高値や最安値から、一定の値幅反対方向に動いたところで、売りと買いを反転させるということ。値幅の大きさを考えに入れているところがミソだ。つまり、「ボラティリティ」(変動)を捕らえていこうというのだが、小さなボラティリティにだまされて仕掛けることを避ける仕組みが組み込まれているのだ。ボラティリティをうまく利用しつつ、ポジションを持ち続けるので「ボラティリティランナー」(ドテンあり)。

中級者は、自分の「投資法」や「考え方」に適合するシステムを

逆張りタイプは、その名の通り逆張りを基本とするもの。上がったら売って下降相場に転じるのをとらえる、下がったら買って上昇相場に転じるのをとらえるという考え方だ。「反転スナイパー」「Rブレイカー」がこのタイプだ。

反転スナイパーは、相場が反転する場合の短期的なチャートパターンを見極めるのが主眼だ。当該パターンが出現したポイントで仕掛け、定められた利食い目標もしくは損切りラインに達したら手仕舞う。相場がわずかに反転してきたタイミングを狙いに行くから「反転スナイパー」(ドテンあり)。

Rブレイカーは、一定期間内の最安値を更新した直後に反発したら買い、最高値を更新した直後に反落したら売るというもの。損切りラインに達するか、一定時間で手仕舞う。一定期間内のR(レンジ)をブレイクした直後の反転を狙って仕掛けるので「Rブレイカー」(ドテンあり)。

一方、短期トレードタイプは、基本的にデイトレードだ。「2タイムチャンピオン」「タイムマネージャー」がこのタイプ。

2タイムチャンピオンは、毎日ある時刻に売りか買いかを判断して仕掛ける。利食い目標、損切りラインに達するか、一定時刻になったら手仕舞う。売り買いは、特定のニつの時点の価格を比較して決定する。ふたつの時点の価格を比較して決めるので「2タイムチャンピオン」。

タイムマネージャーも、基本的な考え方は「2タイムチャンピオン」と同じだが、売買の判断は少し異なる。

エコトレFXの売買システムは、基本的にこの7つの売買モデルで、それぞれにさまざまな通貨ペアが用意されている。初めてシステムトレードに挑戦する人には少し難しいかもしれないが、まずは実際にトレードしてみることだという。小額のトレードをしながら売買のパターンを学んでいくのが、一番の勉強法だそうだ。また、売買システムについてより詳しく知りたい方は、ひまわり証券の「エコトレFX」のページのヘルプを読んでみることをお薦めする。より正確で詳細なロジックの解説が掲載されている。

「売買システムの選び方は二通りあると思います。ひとつは成績などのデータから選ぶ方法。もうひとつは売買システムのロジックから選ぶ方法です」(小沼)。

初心者の方には、どちらかというと、前回紹介したランキングから選ぶ方法がよいかもしれない。中級者の方は、自分の投資法や考え方と合っているロジックを採用している売買システムを選ぶという方法も検討してみるといいという。その方が、自分の感覚と似たタイミングでトレードが行われるので、売買システムの深いところまで理解しやすい。さらに、上級者ともなれば、複数の売買システムを組み合わせたり、あるいは仕掛けや手仕舞いの挙動を見て、今度は自分で売買システムを構築することも見えてくる。

エコトレFXは、使いやすく、簡単で、便利で、いかにも初心者向きのサービスであるかのように見えるが、奥は深い。初心者だけでなく、中級者、そして上級者ですら活用できるサービスなのだ。「このエコトレFXをご利用いただく中で、お客様の投資力をさらに伸ばしていただければと思っております」(小沼)。