NY原油先物(6月限)

FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。ギリシャ財政問題が南欧の周辺諸国に飛び火する中、この問題の早期解決は困難との見方が強くなってきている。今回ギリシャが緊急融資によってデフォルト(債務不履行)を回避したとしても、スペイン、ポルトガルなどが同様の状況に陥った時に、EU諸国が本当に対応できるのか、市場の疑心暗鬼は強まるばかりだ。

そしてこうした信用不安がグローバル化することで、実体経済への影響も懸念される。 今はEU諸国の一部地域だけの問題だが、ソブリン・リスクが欧州以外に波及すると当然世界的な金利上昇圧力が強まることになり、世界経済が成長を維持できるのか、先行き不透明感が強くなっている。

また、市場では6日に米エネルギー情報局(EIA)から発表された米石油在庫統計(4月30日時点)で、原油・製品在庫がともに大幅に増加したことも蒸し返されている。特にWTI原油先物の受け渡し指定地区になっているオクラホマ州クッシング地区の在庫増加ペースが加速していることで、期近の中心限月の6月限は買い難い地合となっている。

良好な経済指標などを考えれば、このまま80ドル割れから大きく崩れる可能性は少ないと思われるが、現在の市場は小規模ながらパニック状態に陥っている以上、75ドルそして70ドルといったサポートラインを再び試す展開も想定しなくてはいけないか。短期は下振れ対処で、中期的には押し目形成といった展開がイメージし易いか。

NY原油先物(6月限) 1時間足