SBJ銀行は、Shinhan Bank Japanの略で、韓国の新韓銀行が日本に設立した銀行だ。日本では長年にわたって超低金利が続いており、預金の魅力はほとんどないといっても過言ではない。こうしたなか、「銀行がおもしろくなる。」、「銀行は金利だ。」といった、ちょっと刺激的なキャッチフレーズを打ち出しているのが、SBJ銀行の特徴。果たして、銀行が面白くなるという所以は?
前回に引き続き、SBJ銀行代表取締役社長の宮村智氏にお話を伺った。
宮村智氏
SBJ銀行代表取締役社長
東京大学法学部卒業。1969年7月 大蔵省入省。1978年6月 ハーヴァード大学ロースクール 法学修士(LLM)取得。経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部 参事官(在パリ)、世界銀行 日本代表理事(在ワシントン)、駐ケニア特命全権大使 兼 駐エリトリア、セーシエル、ルワンダ、ブルンジ特命全権大使(在ナイロビ)、損保ジャパン総合研究所理事長 兼 損保ジャパン顧問などを歴任。高島屋 社外取締役(現職)。
聞き手 : 1998年のアジア通貨危機の時には、一時的にIMF(国際通貨基金)の管理下に入った韓国経済ですが、このところの成長には目をみはるものがありますね。
宮村 : そうですね。今や韓国も先進国の仲間入りを果たしていますが、その経済は他の先進国に比べると、今も高い成長率を維持しています。昨年も、リーマンショックの後という非常に厳しい経済環境にあったのですが、GDPの成長率はプラスを維持することができました。特に昨年7~9月期のGDP成長率は、年率換算で13%のプラスというように、非常に高い成長率を記録しました。一方、この間の日本経済の成長率は、わずかに1.3%です。
韓国は日本よりもさらに人口の少ない国です。全人口で4,800万人程度でしょうか。ですから、国内需要を高めようとしても限界があります。どうしても経済が大きく成長するためには、外需に頼らざるを得ません。だから、グローバルに活躍できる企業が増えてきているのです。
やはり、韓国企業のグローバル化が進んだのは、IMFの管理下に入った経験があったからだと思います。これを機に、韓国経済は回復を目指して改革努力を積み重ねました。たとえば自動車についても、複数社あった自動車メーカーを、実質的にヒュンダイに絞り込む。そのうえで企業の体力をつけて、グローバル競争に乗り立たせるというように、グローバル志向を強めていったのです。米国やEU、ASEAN諸国とFTA(自由貿易協定)を結んだことも、グローバル化に寄与しています。
特にEUの家電製品に対する関税率は高く、それが製品価格に転嫁されることになるのですが、FTAを結んでいる韓国のメーカーは関税なしで輸出できるので、日本のメーカーが作る家電製品に比べて高い価格優位性を持つことになります。いずれにしても、韓国企業の競争力が高く、その競争力を維持していくうえでも、さまざまな資金需要が旺盛だということは間違いのないところです。
聞き手 : 日本では今後も、金利の高い預金の取扱いを続けていくのでしょうか。
宮村 : そうですね。SBJ銀行が実店舗を抱えている場所、地域については、日本の他の金融機関もビジネス展開を図っているわけですが、まずはそのなかで、他の銀行よりも有利な利率を維持できるようにします。
店舗展開については、今後も続けていく予定です。特に在日韓国人の方が積極的にビジネスを展開しているところには、きちっと店舗を展開していきたいと考えております。 そのうえで、SBJ銀行の経営を続けていくにあたって、「3つの基本理念」を大事にしていきたいと考えています。
第1の理念は、前述したように、お客様から愛される銀行になること。次いで、信頼される銀行になること。そして最後は職員が楽しく仕事ができる銀行にすること、です。愛される銀行になるために、金利の有利な預金を提供しておりますし、信頼される銀行になるためにも、経営基盤をしっかり固めていく必要があります。
聞き手 : 「銀行がおもしろくなる。」というキャッチフレーズに相応しい、面白いサービス展開は考えていらっしゃいますか?
宮村 : 今のところ、日本国内のSBJ銀行としては、金利の有利な円建て預金に加えて、ウォン建ての外貨預金も扱っています。この金利は1年物で3.5%です。為替リスクはありますが、ウォンの相場は、2008年のリーマンショック後、大きく下落していますので、そこからのリバウンドを狙って為替差益を確保しようと考えている預金者の方には好評のようです。
ユニークなサービスという点では、韓国の新韓銀行の方で、面白いサービスの取り組みを行っています。たとえば、バカンスシーズン、海や山に大型バスを改造した出張オフィスを開設する。これなどは、お客様の利便性を考えた場合、非常にユニークなサービスとして注目されていますが、日本国内への導入は、まだ分かりません。
あるいは、ゴールドバンキングという商品もあります。これは、預金口座の評価額が金価格に連動しているというもので、実際に預金を下ろす際には、その金価格に連動した価格や金の現物で引き出すことになります。
その他、人材育成や文化振興、あるいは環境への取り組みといったCSR(企業の社会責任)にも積極的です。私どももこうした活動を通じて、少しずつSBJ銀行のブランド力を高めていければと考えています。
(聞き手 : 鈴木雅光、撮影 : 中村浩二)