ヤマハ発動機は、欧州市場で知名度の高い「テネレ(Tenere)」の名を冠した1200ccのニューモデル「スーパーテネレ(Super Tenere / XT1200Z)」を欧州・豪州市場で2010年5月以降発売する。日本での販売・逆輸入等については未定。
スーパーテネレは1980年代から90年代にかけて、パリダカールラリーのために開発された競技用マシン、およびそのベースとなった市販車の名称でもある。市販車は750ccで、1998年まで販売された。今回のモデルは、スーパーテネレのリバイバルともいえる。
新型スーパーテネレは新設計の1200ccの水冷4ストローク並列2気筒ツインプラグ・2軸1次バランサー・270度クランクエンジンを採用。270度クランクにより慣性トルクの影響を最小限として、扱いやすいいトルク感、トラクション感を引き出している。シリンダーは前傾26度として優れた吸気効率を確保。上方にエアクリーナーを配置する。冷却性能とショートホイールベース、マス集中化を図るため左側配置のサイドラジエターを採用した。
F.I.(フューエルインジェクション)を採用。スロットルバルブの作動は「YCC-T」(ヤマハ電子制御スロットル)とし、MotoGPマシン開発からフィードバックしたトラクションコントロール機能を織り込んだ。後輪空転を検知して駆動力を最適化し、姿勢の乱れの低減や扱いやすい操縦性に貢献している。
ツーリング性能を支援するために、リニア制御のABSと「Unified Brake System」(前後連動ブレーキシステム)を採用。Unified Brake Systemは前輪ブレーキレバーの操作により、後輪ブレーキが追従して効力が生まれる機構。後輪ブレーキが前輪ブレーキより先に操作された場合、Unified Brake Systemはキャンセルされる。
そのほか、新設計フレーム、三元触媒採用楕円型ショートマフラー、軽量化に貢献するハイポイドギア採用シャフトドライブ、ソレノイド駆動による「Hi・Lo」切替えプロジェクターヘッドライト、トップケース装着などに対応する3WAY キャリアなどを特徴としている。
主な仕様は、全長2,250mm×全幅980mm×全高1,410mm、ホイールベース1,540mm、シート高845mm(Low)/870mm(High)、車両重量261g、水冷・4ストロークDOHC並列2気筒エンジン、1,199cm3(ボアφ98.0×ストローク79.5mm)、最高出力80.9kW(110PS)/7,250rpm、最大トルク114.1Nm(11.6kgm)/6,000rpm、セルフ式スターター、タンク容量23L、タイヤ:前110/80R19M/C 59V 後150/70R17M/C 69V。