『マルコヴィッチの穴』のスパイク・ジョーンズ監督によるファンタジック・アドベンチャー『かいじゅうたちのいるところ』が、2010年1月15日に全国公開される。
『かいじゅうたちのいるところ』は、モーリス・センダックによる同名絵本を実写映画化作品。いたずら好きな8歳の少年マックスが、家族とのいさかいから家出し、「かいじゅう」の住む不思議な島に辿り着くという物語で、マックスは、かいじゅうたちと共に様々なことを体験し、交流を深めていく。
昨年末に来日し、取材に応じたスパイク・ジョーンズ監督は「主人公の少年の視点で映画を作っているから、これまで撮ってきた概念的で知性に訴えるようなタイプの作品とはかなり違うものになっていると思う」と同作の斬新さをアピール。さらに「『かいじゅう』がどういうものなのか掘り下げる必要があったから、僕は、子供の頃のワイルドな"感情"だと理解したんだ。だから、それぞれを特徴的な感情として作り上げていって、マックスがそれに対してどう対応するかというところを見せたいと思った」と同映画が生まれるきっかけとなったアイディアについて語った。
また、撮影より先に声優を集めて声を録音するという独特な手法を取り入れた。「2週間かけて、芝居をやるような感じで、ビデオも撮りながら録音したんだよ。声優たちの掛け合いの中でこの映画の精神面での土台が出来上がっていって、きぐるみに入る俳優は、声優たちの様子を参考にして演技したんだ」と撮影前の"土台"作りに力を入れたと強調した。
この日、監督は撮影スタート時のエピソードも披露。当初は事務所が無かったため『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のデビット・フィンチャー監督のオフィスに間借りしていたという。きぐるみを撮影で使用することをフィンチャー監督に伝えると、「バカじゃないか、そんなものジャングルに持って行ったら、二度と帰ってこれないぜ」(フィンチャー監督)と驚かれたのだとか。それでもきぐるみは使ったが、「『ベンジャミン・バトン』のテスト映像を見せてもらったら、(CGが)素晴らしくて、かいじゅうの表情にはCGを使うことにしたんだ」と振り返っていた。