矢野経済研究所は21日、同社が行ったFX市場の動向調査結果を発表した。それによると、2009年3月期のFX市場規模(預り証拠金残高)は5,951億円で前年比14.5%減となったが、口座数は同55.3%増の192万口座、取引高は同169.4%の1,641兆円と急増した。
この調査は今年5月から7月にかけてFX専業会社・証券会社など112社を対象に、直接面接ならびに電話・E-mailなどによるヒアリングによって行われたもの。
FX市場では、2009年8月から信託保全とロスカットの導入が義務づけられ、また2010年8月からは段階的にレバレッジが引き下げられることになっている。昨年の時点では新規参入の動きが活発だったが、今年は規制強化への対応の見込みが立たない事業者の撤退が進んでいるという。
昨年の調査において、2009年3月期の市場規模を約30%増の9,060億円と予想していたが、昨秋からの急激な円高で外貨買い投資家の資産が減少したこと、また景気の悪化も重なったことで、予想を下回り5,951億4,500万円に留まった。
しかし口座数は増加を見せており、2009年3月期の口座数は192万1,829口座と前年比55.3%の伸びを示した。また、取引高は前年の2倍以上となる1,641兆5,550億円に達している。これは、高レバレッジ・低スプレッド・利便性の高い投資環境といった投資家ニーズを捉えた施策で短期売買が増加したことや、テレビCM解禁などにより認知度が向上し、投資家の裾野が拡大したことが要因。また、多くの企業でアクティブ層の開拓が進んだことで、預り証拠金残高が減少する一方で取引高が急増したと見られている。
矢野経済研究所では、預り証拠金残高、口座数ともに増加傾向にあることから、2010年3月期は市場規模7,000億円、口座数260万口座という予測を示している。取引高については2009年比10%減の1,500兆円と予測。しかし、今年第2四半期以降に為替が円安に振れる等の戻り幅があれば同20%増の2,000兆円としている。
2011年についてはレバレッジ規制の影響を受ける可能性が高いという。現在の平均レバレッジを100倍と想定、2010年の規制で50倍に引き下げられた場合、2011年3月期の取引高は1,000兆円にまで減少すると予測している。