やっぱり都会より、大自然

富士丸がおとなしくなっていくと、一緒に外出もしやすくなる。ということで、穴澤さんは富士丸を連れての旅行にこの頃から度々出かけるようになった。「庭のない狭いマンションの1室で暮らしているので、山とか川とか自然のある場所に積極的に行きました」。その様子はブログでも紹介されているが、とにかく富士丸がイキイキとした表情をして走り回っている。見ているこちらもうれしくなってしまうほどだ。

大自然の中の富士丸はイキイキとしている(撮影: 穴澤賢さん)

そして穴澤さんはそんな富士丸の様子を見ているうちに、あることを考えるようになった。「自然に囲まれた場所での暮らしのほうが、富士丸は幸せなのではないだろうか」。

富士丸は現在7歳。犬の寿命を考えると、折り返し地点を過ぎた、と考えても良いだろう。しかし、年老いて足が不自由になってから自然あふれる場所に連れて行っても意味がない。「野山を駆け回れる元気なうちに、田舎暮らしをしよう」。そう穴澤さんは決意する。

しかし、障害は多かった。穴澤さんは2008年6月に独立し、フリーランスのライターとして活動している。仕事は東京が拠点のため、週末だけ田舎に行くといった東京と田舎の二重生活をするとしよう。そうすると、必然的に家賃は二重に発生し、家計を圧迫してしまう。

田舎への完全移住を計画

東京から離れ、田舎への移住を決意した

ここは発想の転換、と思いついたのが田舎への完全移住。会社勤めではないので、毎日会社にいく必要はない。東京での打ち合わせもあるが、車で片道2時間程度の距離なら問題ないだろう。フリーランスという立場上、住宅ローンが組めるかと心配したが、この問題もなんとかクリアできそうとの話。あとは場所を探すのみ。現在、長野・蓼科や山梨の清里や小淵沢の別荘地を中心に土地探しをしている最中で、「年内に土地購入から家の完成までもっていければ」とのことだ。

「ペットは家族同然」なんてよく聞く言葉だが、そのペットのために家を建てようと決意できる人はそう多くはないだろう。最後に「穴澤さんにとって、富士丸はどんな存在ですか」と質問しみてた。

「息子のような存在です」。