昨年秋からの原油価格急落を受け、4月から航空各社が大幅に値下げした燃油特別付加運賃(サーチャージ)。ゴールデンウィークを控え、円高のなか海外旅行を予定する人も増えているようだが、いったいどれぐらいお得になったのだろうか―。

9割以上値下げの路線も

ジェット機の燃料費の値上がりに応じて国際線の航空運賃に上乗せされている燃油サーチャージは航空燃料(シンガポールケロシン)の平均価格をもとに、4半期ごとに改定されるもの。日本航空(JAL)によると、今年1月~3月の燃油サーチャージは昨年8~10月の航空燃料(シンガポールケロシン)の平均1バレル約116ドルをベースに算出したのに対し、4月~6月適用の燃油サーチャージは昨年11月~今年1月の平均1バレル約64ドルをベースに算出しているという。

例えばJALの欧米線の場合、今年1月~3月に往復4万4,000円だった燃油サーチャージは4月~6月は7,000円と3万7,000円(84%)も値下がりしている。また、人気のハワイ便は往復2万9,000円から4,000円(82%値下げ)、韓国線も5,000円から400円(92%値下げ)など、75~92%の大幅な値下げとなった。同社は今回の値下げについて「国際航空運送協会(IATA)の決定に基づいて普通運賃が今年度から上がった。この値上げ分をお客様に『還元』する目的もあり、サーチャージが低く抑えられるようサーチャージ算出用の適用条件表を4月に改定した。その分もあって値下げ幅が大きくなっている」と説明している。

この燃油サーチャージだが「競争や営業の事情もあり、その算出方法は各社で違っている」(日本旅行業協会)。例えば1月~3月と4月~6月の日本航空とノースウエスト航空の片道あたりの燃油サーチャージを比較すると次のようになる(日本航空と全日空は同一路線の場合燃油サーチャージは同額)。旧料金のアメリカ本土路線はノースウエストが低く、ほかの路線は同額だったが、今回は日本航空が100円~4,500円(片道)安い設定となった。

日本航空とノースウエスト航空の燃油サーチャージ(片道)の比較

路線 日本航空旧料金(片道・1~3月) 日本航空新料金(片道・4~6月) ノースウエスト航空(旧料金片道・1~3月) ノースウエスト航空新料金(片道・4~6月)
韓国 2,500円 200円 2,500円 300円
中国・台湾・香港 6,000円 500円 6,000円 1,000円
グアム・フィリピン 7,500円 1,000円 7,500円 2,000円
タイ・シンガポール 1万2,500円 1,500円 1万2,500円 2,000円
ハワイ 1万4,500円 2,000円 1万4,500円 4,000円
アメリカ本土 2万2,000円 3,500円 2万円 8,000円
※両社ともに運航している路線のみを記載

人気のハワイ路線で各社の燃油サーチャージを比較したのは次の表。もっとも安い大韓航空の料金はもっとも高いノースウエストの半分以下で、往復では5,000円の差となっている。

航空各社のハワイ路線での燃油サーチャージ(片道)の比較

航空会社 日本-ハワイ線燃油サーチャージ(片道・1~3月) 日本-ハワイ線燃油サーチャージ(片道・4~6月)
日本航空 1万4,500円 2,000円
全日本空輸 1万4,500円 2,000円
ノースウエスト航空 1万4,500円 4,000円
大韓航空 1万1,000円 1,500円
チャイナエアライン 1万1,000円 2,000円

GWの予約「好調」--人気はハワイやグアム、韓国など

GWを控え、海外旅行好きには「朗報」となった今回の燃油サーチャージ改定。ノースウエスト航空によるとGWの予約状況は「昨年に比べ確かに好調」とのこと、アメリカ本土行きのほか、グアム、サイパン、ハワイといったリゾート便の人気が高く、ハワイ路線の5月1日夜の出発便、6日の到着便などは「かなり埋まっている」。一方、「円高で(旅行先の)滞在にかかる費用も下がり、買い物もしやすくなった。遠いだけにサーチャージの値下がり幅が大きく、以前に比べぐっとお得になったのがヨーロッパ。値ごろ感で行けばグアムや韓国がおすすめですね」と話すのは日本航空の広報担当者。同社でもGWは日本発のエコノミークラスを中心に全路線で好調。ハワイ、グアム、韓国便が人気だという。

休みをとらなくても土日含めて5連休がとれる"日並び"となった今年のゴールデンウィーク。円高に加え、お分かりのように燃油サーチャージも大幅に値下げとなったので、海外旅行組が昨年に比べ増えるのは間違いなさそうだ。