『おくりびと』でアカデミー賞外国語映画賞を獲得した滝田洋二郎監督の最新作で、矢口高雄原作のコミックを映画化した『釣りキチ三平』。公開初日の20日に東京・銀座で舞台挨拶が行われ、主演の須賀健太、塚本高史、香椎由宇らが登壇。イベント中に突然、香椎が涙を見せる場面もあった。
この日、香椎は38度以上の高熱を出すなど体調不良で、声も出せない状態。彼女の隣に立った渡瀬恒彦が通訳となり、「こんな声になってしまって申し訳ありません。今日は本当に来てくださって、ありがとうございます」とコメントした直後、急に大粒の涙をこぼした。不本意な形での舞台挨拶となってしまったことへの悔しさが垣間見えたが、彼女のコメントに対し、観客は大きな拍手で応えた。
主人公の三平役を務めた須賀は、「この映画に関わった1年間はすごく楽しくて、充実していました。こうして皆さんに見ていただけて、本当に嬉しいです」と挨拶した。MCからの「最近おめでたかったことは?」との質問にも、「やっぱり(公開初日の)今日が一番おめでたいですね」と即答。前日から興奮状態だったようで、「昨日の夜は布団の中で騒いでました(笑)。『明日は頑張ろう!』って感じで気合いを入れたおかげで、今日は最高にいい日になったと思います」と語った。
三平と出会う釣りのプロ・鮎川役の塚本は、「撮影を振り返ってみて、すごくあっという間だった気がします」とコメント。続けて、「今日で公開初日を迎えたので、あとは皆さん次第ということになると思いますが……、面白かったですか?」と観客に問いかけると、惜しみない拍手に包まれた。
本作でメガホンを取った滝田監督は、『おくりびと』でオスカーを獲得する快挙を成し遂げたばかり。しかし、この日はその話題は"封印"し、本作のPRに務めた。「去年の夏に秋田で、この素晴らしいメンバーで一生懸命撮りました。秋田の方々でも行ったことがないであろう場所も見つけて撮影したので、『釣りキチ三平』なりの秋田を表現できたのではないかと思います」と自信をのぞかせた。
イベントの最後には、須賀から、「この映画を見て、『釣りに挑戦したいな』と思った人はいますか?」との質問が。観客から多くの手が挙がると、須賀も満足そうな様子。「撮影が始まった時から、映画を見て、『釣りがしたい』と思っていただけたら……と思っていたので、超嬉しいです。今日は本当にありがとうございました」と、晴れやかな表情で舞台挨拶を締めくくった。
映画『釣りキチ三平』は全国公開中。