大黒埠頭でしばらく夜景を満喫し、今度は山手の知る人ぞ知る穴場へ。ベイブリッジを渡っていると、最近は工場の夜景を見たいという女性客も多いとの話が出た。「工場萌え」は話題となったし、工業地域の夜景もファンが少なくない。街並みとは違った夜景を求める人にとっても、このタクシーは欠かせない足となるのではないだろうか。

穴場となっている山手の高台から見たベイブリッジ

高級住宅街の細い道からは、ベイブリッジが目の前に見えた。もっともここは穴場と言っても地元では結構知られた場所らしい。住民の迷惑にならないようさっと見学を終えて、山手の丘を下る。坂道を走っているだけでも、横浜でタクシーに乗るありがたさを実感。元町から山下公園、赤レンガ倉庫と巡り、みなとみらいへ。

「ここにもいつもご案内している穴場スポットがあります」。川田さんと永池さんに案内された場所は、目の前に大観覧車「コスモロック21」とビル群の夜景が広がる空き地だった。1本道を入っただけなのに車は通らず人もいない。現在は一時的に駐車場として利用されている場所らしいが、みなとみらいの真ん中にいるのに閑散とした、何とも不思議な空間だ。

大観覧車とビルの夜景が間近で見られる穴場スポット

みなとみらいの奥にある浅野ドッグ跡。プレートが置かれていた

タクシーはさらにみなとみらいの奥深くへ。ビル群を背後から眺める場所には、高層マンションが建っていた。そのすぐ近くには、初代南極観測船「宗谷」が造られた浅野ドッグ跡があった。「開発の中で埋もれてしまった感じですが、こういった歴史的な場所にもご案内したいですね。何よりここも夜景の穴場スポットだったのですが……」と川田さん。なるほど、最近完成したという橋が、みなとみらいの夜景を邪魔していた。

そこからさらに東神奈川方面へ向かった。急激にあたりの風景は日常的になったが、その背後にはみなとみらいの摩天楼がそびえている。少し走り、橋の前でタクシーは停車した。橋のたもとに雰囲気のあるバーがあるが、ちょっと場違いに思えるほどそれ以外に何もない場所だ。

「この橋の向こうは米軍の施設なんです」と川田さん。このバーはアメリカ兵の憩いの場だという。日本の映画スターなどもたくさん通っていたし、映画などのロケも行われている。このあたりから眺める横浜の夜景は、またひと味違って見えた。こんな穴場は「夜景タクシー」だからこそ訪ねることができる。

米軍施設の橋のたもとから見たみなとみらいの風景

横浜はそれなりに知っているつもりだった筆者だが、再発見・新発見の連続。夜景タクシーをまだ利用していない方、これは相当オススメです! と言うより、乗らないと、もったいないですよ。